6 / 20

糸を張る蜘蛛_參

「じゃぁ、コイツに着替えてくれや。それと、足袋は脱いでくれ」  手元に戻った藤色の着流しを再び手渡した。 「わかった」  恒宣が着替えている間に筆と紙を用意し、布団を敷いて此処に横になる様に言う。 「藤、これでよいか?」  仰向けに寝そべった恒宣に、動かすぜと足を立てる。  どうなるのかと少し不安そうな表情をする恒宣だが、何も言わずにされるがままとなる。 「あと、衿下を少し捲ってもいいかい」 「かまわぬよ」  衿下を捲りあげれば細く白い足がちらりと見え、芯が痺れを感じて目を見張った。  腰回りを撫でた時には何も感じなかったというのに。  きっとこれは気のせい、そう恒宣の足へと手を這わせて撫で上げる。 (ほら、気のせいだった)  いつもと同じ。  絵師としての自分は、相手の淫らな姿に興奮など一度もしたことがないのだから。  いきなりこんな真似をする藤に恒宣は驚いてしまっただろう。 「藤っ!」  と声を上擦らせて恒宣が身を起こす。  しかし藤は撫でる手を止めることなく、上へと伸びて太ももへと触れていく。 「ん……、ふじぃ」  なんて色っぽい声を出すのだろうか。  再び芯が痺れだし、流石にまずいと思いはじめる。 (駄目だ。今すぐにこの行為をやめて冗談だといえ!)  欲しいという気持ちが芽生え、直ぐにそれを打ち消そうとする。  だが、触れられる度に色づいていく恒宣を目の前にし、藤の手はもっときわどい所へ触れようとしていた。 「藤、やっ」  足を閉じて逃れようとする恒宣に、理性がプツリときれ。それをさせまいと膝を掴んで体を差し込む。 下穿きの上から恒宣のマラに触れれば、びくと体が跳ね上がる。 「なんでぇ、おなごに此処を良くしてもらった事ぐらいあるだろうが」 「……ない」 「へぇ、じゃぁ、初物ってわけかい」  ぺろりと舌なめずりをしながら欲を含んだ目で恒宣眺め、帯を解きそれで両手を縛り上げる。 「や、腕、解い……、んッ」  涙を浮かべ言葉を紡ごうとするその口を、五月蠅いとばかりに唇を塞いでしまう。  無理やり舌を口の中へとねじ込んで、水音をたてながら絡め、下衿を掴んで広げて下穿きへと手を伸ばした。

ともだちにシェアしよう!