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糸を張る蜘蛛_肆
泣きながら嫌だという恒宣に、止める事無く快楽を与え続け溺れさせ、貪るように体を奪い、気を失うまで中を突いた。
白濁で汚れた体をぬるま湯で拭い、藤色の着流しを着せる。
自分の身体を適当に拭いた後、先ほど目に焼き付けた恒宣の淫らの姿を描いていく。
どのくらい没頭していたか、傍に立つ人の気配を感じて我に返る。
「起きたのかい」
「あぁ……」
ちらっと見ただけだが顔色が悪い。
畳の上に散らばる絵を見たのか、恒宣がはっと息を飲む音が聞こえた。
「こ、これは、私、なのか?」
と、声を震わせる。
丸メガネの色気のある男が、口に後ろにと巨根を咥えている、そんな絡み絵が数点。
後は精で濡れて恍惚とした表情を浮かべる姿や、着流しを淫らに着崩し、舌を出している姿……。
犯された挙句に淫らな姿を描かれているのだ。これで完全に嫌われただろう。
藤は絵をかき集め、そして真っ青な顔色をしている恒宣の手から絵を取り上げて、
「これで俺って男がわかっただろう?」
という。
最低だと罵り部屋を出ていく、そう思っていたのに。
「お主の、なにを、知ったというのだ?」
震える自分自身を抱きしめながら、それでも真っ直ぐにこちらを見ていた。
あんな真似をした男なのに、まだ嫌わないでいてくれようとしているのか。
(俺には勿体ねぇ人だ)
こんなどうしようもない男と一緒にいたらいけない。
だから余計に相手を傷つけるような態度をとる。
「初物だと知って、おめぇを食うような男だぜ、俺は」
腕を伸ばして恒宣の尻を掴んで揉む。先ほどまで藤のモノを咥えていた所を指で撫でれば、
「ひやぁっ」
と声をあげて腰を浮かす。
「中に突っ込んでやったら、あんなに善がっちゃってよ」
クツクツと笑って見せれば、恒宣は羞恥に顔を赤く染め、藤の頬を思い切り叩いた。
「いてぇな……」
「最低だな、お主」
藤の頬を叩いた手を握りしめながら涙を浮かべる恒宣に、
「二度と此処には来るんじゃねぇッ」
そう言い放ち、出ていけとばかりに手を払う。
「邪魔をした」
涙を拭い藤から視線を外すと、藤色の着流しを着たまま恒宣は家を飛び出していった。
本気で落ちる前に彼を遠ざけた。しかも最低なやり方でだ。
綺麗に畳まれた恒宣の小袖と袴を手にとり抱きしめる。
「すまねぇ……」
恒宣の姿を思い浮かべながら藤は静かに涙を流した。
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