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番の蝶と狩る蜘蛛_肆

「本当、タチがわりぃぜ」  うしろの孔へと舌をはわせ唾液で塗らすと指を突っ込んだ。 「んっ」  中を解し、柔らかく広がった所へ自分のモノをいれる。  一つになれたことに、腰が自然と揺れて互いに互いを高めていく。 「あぁっ、ふじはるっ」 「くっ、はっ……」  欲を放ち、恒宣を抱きかかえて額に口づける。 「おめぇは休んでな」  というと藤は寝転びながら絵を描きはじめる。 「なんだ、なにか思いついたのか?」  どれどれと、その様子を共に眺める恒宣だが、書き進むにつれ顔が真っ赤に染まり背中を掌で叩かれる。 「お主はっ、この変態!」 「ぬわっ、やめろって」  狼と狐。一人は縛られたまま狼に後ろを犯され、もう一人は目隠しをして狐の尻尾に身体を愛撫をされている。 「どうみてもこちらが私だろう!」  トン、と、目隠しをしている方を指さす恒宣に、藤はニィと口角を上げて、良く分かったなと硯に筆を置く。 「こう、な、筆でアンタの身体を弄っている感じってぇの?」  乾いた筆で恒宣の胸の粒を撫でる。 「ふぁっ、なにを」  目を見開き、思わず声を上げてしまった事に、恒宣は筆を払いのける。 「藤春、いい加減にしないと怒るぞ」  耳を引っ張られ、これ以上なにかしたら本気で怒られそうなのでやめる。 「わかったよ。もうしねぇから、さ。これだけは描かせてくれよ」  お願いしますと掌を合わせれば、 「……まぁ、売らなければ良い」  と渋々ながら頷いてくれた。 「わかった。こいつは大窪先生にお礼で渡しておく」 「何故、保先生に!?」 「あぁん、言ってなかったけか? 手伝ってもらったのよ」 「という事は、兄上の淫らな姿を、保さんも一緒に見ていたということか」 「あぁ。すごかったぜ。俺に見せつけるようによ、こう……」  恒宣の腰を抱き、後ろへ自分のモノをこすり付ける。 「なっ、お主ら」  最低だと頬を張られ、藤から離れ着流しを身に着ける。 「恒宣ぃ」  待ってくれと手を伸ばすが怒った彼はそのまま襖を閉めて行ってしまう。 「やべぇ、結局、怒らせちまった」  と描いた春画を眺めため息をついた。  その後、恒宣は芳親の傍におり、軽蔑するかのように保と藤を眺める。  お怒りは当分の間続き、こればかりはどうにもしてやれないと芳親が苦笑いを浮かべ、保と藤は黒田兄弟のご機嫌取りをすることになるのだった。 【了】

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