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2. Voiceless Wish 5

くちゅり、と中が掻き混ぜられて鳴る音がくすぐったい。身体の芯からゾクゾクと震えてるのが自分でもわかった。 「……あ……ッ、海里……」 俺を見下ろす眼差しは艶っぽくて、羞恥心を余計に煽ってくる。こんな痴態を見られることが恥ずかしくなくなるときはいつか来るんだろうか。もし来るとすれば、それはあとどれぐらい先なんだろう。 「ん、何?」 意地悪な返し方に思わず目を逸らす。万里に恋してた頃、俺は眼鏡を取った海里の顔を見る度に万里のことを思い描いていた。それなのに、いつの間にか海里はもう海里にしか見えなくなった。 そもそも俺にこんなことをするのは世界中で海里しかいないと、ちゃんと理解してる。そうだ、他の誰でもない。 遠くで小さく流れるアシッドジャズの音に、この声が掻き消されてしまえばいいと思う。だけど普遍の愛を奏でるリズムはそこまで俺のことを考えてくれない。 「あッ、んっ、ああ……っ」 身体の奥を蹂躙する指の本数が増やされて、動きが速まっていく。ぐるぐると体内を渦巻いていた快感が、波のようにうねりながら高みを目指す。 もうやめてほしいと思う気持ちだってちょっとはある。なのに、それを遥かに凌駕してしまうほど快楽が欲しくてたまらない。女にするみたいなことをされて悦んでることに屈辱感もあるけれど、それ以上に気持ちよくなりたいという欲求が勝ってしまう。 身体は素直とつくづく思う。だけど、それは心と連動してるからだということも知ってる。 ごり、とイイところを強く擦られて身体が跳ね上がった。 「──あ、イく……イく……ッ」 苦しい呼吸の中で白くスパークする世界。死んじゃう時ってこんな感じかもしれない。そんなつまんないことを思うけど、意識はちゃんとあるし俺は生きてて時間は止まらずに流れてる。 寒い季節だというのに汗だくだ。濡れた肌をふわりと掌でなぞられて、また身体が戦慄いた。 「またここでイったのか」 からかうような口振りに視線を落とす。俺だって生まれた時からこんな身体じゃなかったんだ。そう声に出して反論したくなってしまう。なんにも知らないウブな男子高校生だった俺の身体をここまで躾けたのは海里じゃないか。 だから責任ぐらい取れよ。そう思うけど俺たちは男同士で結婚できるわけでもなく、何の約束もできないひどく曖昧な関係でしかない。 「うるさ……」 散々喘ぎまくった口から出た言葉はたったそれだけで、罵倒する代わりに手を伸ばして硬く勃ち上がった海里のそこを弱々しく握りしめた。ドクリと震える半身を何度か扱くと一回り大きくなった気がして、それを嬉しいと思う自分に呆れる。 こんなのが身体の中に入って、しかもありえないほど気持ちいいんだから本当にどうかしてる。

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