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2. Voiceless Wish 6
「早く、挿れれば」
上目遣いでそう急かせば、海里は軽く舌舐めずりをして口角を上げる。そんな顔にどうしようもなくゾクゾクしてしまう。
「エロガキ」
「……言ってろ」
もう俺はガキじゃない。一応成人してて、堂々と酒を飲めるし煙草だって吸える。誰にも咎められることはない。
このセックスだって同じだ。流されてしてるわけじゃなくてちゃんと自分の意志で、したいからしてる。
他の誰でもなく、海里と肌を重ねたい。こんなことをする理由はただそれだけだ。
脚を大きく掲げられて、濡れたそこに硬質な先端があてがわれる。呼吸を吐いた途端焦らすようにゆっくりと入ってくる異物を、俺の身体は容易く受け入れていく。
「──はッ、ああ……っ」
最奥まで到達して、肌と肌がぴたりと合わさった。ギチギチと音が聞こえそうなぐらいきついのに、その圧迫感が気持ちよくてたまらない。見上げれば眼差しは揺らめきながら俺を真っ直ぐに捕らえていた。
海里のことは好きだ。だけど、時々無性に不安になる。この関係の行きつくところがどこなのか、俺には見当もつかないから。
全然見えない未来。一寸先は闇っていう言葉のとおり、前に進もうとしたら地面に底なしの落とし穴が空いてるかもしれない。
「海里……」
眼鏡を外した海里の顔も好きだ。レンズ越しと違って俺たちの間を隔てるものがない。だから全てを見透かされてるみたいで、不意に目を逸らしたくなる。
縋りたいという欲求のままに腕を伸ばせば強い力で抱き起こされる。起き上がった途端、中に入っている半身の位置が変わる感覚にまた声がこぼれた。向かい合って座りながらゆさゆさと腰を築き上げられ、そのリズムに合わせて声があがってしまう。
「あ……っはぁ、ん……ッ」
我ながら甘ったるい喘ぎ声だと呆れる。それを塞ぐように唇が重ねられた。口内に入ってくるぬるりとした舌の感触に下肢が痺れて、快感を助長させる。唇の端からこぼれそうになる唾液を伸びてきた舌が器用に絡め取る。
そんなに強い刺激じゃないはずなのに、揺らめきながら快感の波は大きくなっていく。俺は海里とのセックスしか知らない。だけど他の誰ともしたくないと思う。
たとえ、この関係が長く続かないものだとしても。
「ンンッ、ふ……」
胸の突起を強く捏ね上げられて思わず唇を離してしまう。
ビリッと電流が走るような刺激に痛覚を訴える声が漏れた。
「いた……あッ」
「余計なことばかり考えるからだ」
俺の気持ちなんて見えてるわけがないのに、海里は目を細めてそんなことを言う。
まあ、図星なんだから否定しようもないけど。
さっきから送り込まれる抽送に身体が悲鳴をあげているのは確かで、いい加減イかせてもらわないと明日の授業に響いてしまう。このまま夜明けまで続くハードなコースはごめんだ。
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