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第4話

ケントが振り返ると地面にグールがうつ伏せに倒れている。 ぴくりとも動かないところを見ると、事切れたのだろうと窺えた。 「大丈夫?」 はっとした。グールを倒し自分を助けてくれた命の恩人が目の前にいる。 グールが横たわるすぐ傍らにシルバーの鉄靴が見え、ケントはゆっくりと視線を上げた。 ケントの前にシルバーのプレートアーマーを身に付けた冒険者が立っていた。 彼は剣を腰元に仕舞い、フェイスガードを上にずらした。 涼しげな目元が覗いている。 彼が身に付けている重そうな甲冑は細身で長身の体によく似合っていて格好いい。 いつの間にか見惚れてしまっていたケントに、彼は手を差し伸べて、ケントはその手と彼の目元を交互に見詰める。 「立てない?腰でも抜けたか?」 「あ……いや、大丈夫」 ─この装備って、何の職業だ?前線に出る職業であることは間違いないだろうけど、戦士?傭兵?いや何か違う。 ……わかんないな、あ、取り敢えずお礼しなきゃ。 「あの、ありがとう」 ケントは彼の手に掴まり立ち上がった。 「いえいえ。冒険始めたばかり?」 「うん」 初めて他の冒険者から話し掛けられた。 その事にドキドキと意味もなく胸が高鳴り、ふわふわとした心地にケントは戸惑いを隠せなかった。 「草原の奥を狩場にするにはあんたにはまだ早いと思うけど。えっと、名前は?俺はハラン」 「ケ、ケント」 「ケントは何してたの?」 「酒場にあった貼り紙見て、ネズミの毛皮を集めようかなって」 「なるほど。手伝おうか?」 「いいの?」 「いいよ。街の近くの草原はネズミが乱獲されて数が少ないんだ。他にネズミが潜んでる場所をいくつか知ってるから案内するよ。それにあんたの持ってるその棒っきれじゃ倒すの大変そうだしな」 ハランの見た目は自分より遥かに大人っぽいが、話しやすい。 勝手に親近感を覚え、同い年くらいかな?と想像する。 「ありがとう、ハラン!」 ケントはこの場所で初めてハランと出会い、ハランはケントの初めての仲間となった。

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