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Lv.4原田宗太

原田宗太。櫻田学園高等部1年5組。 高等部から入学した訳あり生徒である。 シルバーグレイの髪は束感のあるショートスタイルで耳には赤や黒のピアスか飾られていた。 アーモンド型の瞳に高い鼻筋、長身に見合った長い手足はまるでメンズ雑誌のモデルのようだ。 だが、宗太はモデルでも何でもなく、教師からは素行の悪い生徒として入学当初からマークされている一人である。 いつもならば昼休みは屋上へ行き、のんびりと腹ごしらえするのが定番となっていたが、残念なことにこの日は屋上ペンキの塗り替えで立ち入り禁止となっていた。 仕方なくうろうろしていたところ、誰もいない中庭を見つけた。 入学してからもう2学期にもなるというのに校舎の造りがよくわかっておらず、こんな庭があったのかと少しばかり感動した。 丁寧にベンチまで置いてある。 宗太はそこに腰を下ろし長い脚を組むと、パンの入った紙袋を開けた。 いつもは連んでいる友人と共に過ごすのだが、この時は宗太一人だった。 友人は宗太と同様に素行が悪く、きっと今頃、貴重な休み時間に職員室に呼び出され雑用事でもやらされているに違いない。 今日のメニューはタマゴサンドにメロンパン、ツイストドーナツとコーヒー牛乳。 子供が好みそうなメニューだが、全部宗太の好物だ。 宗太がガブリとタマゴサンドを一口頬張ると中庭のどこかから声が聞こえてきた。 「?」 聞く気はないが、聞こえてくるのだから仕方ない。 「……好きだ。付き合ってくれ」 「無理です、ごめんなさい」 告白して振られたやつがいるという構図が目に見えるようだった。 ─ここは男子校だろ。マジでこんなことあるのか……。 いや、無理。無理だろう……。 初めて遭遇するシーンで、告白された方に同情してしまう。 はっきり断られたのだから諦めるだろうと思いきや、どうにか相手の気を引こうと食い下がる声が聞こえてきて、どんな奴らがこんな事をしてるんだ?と、興味が湧いた。 「あぁ、すまん。俺は3年3組郷田武雄。レ スリング部部長を勤めている」 「はぁ……」 「その筑波くんの類い希なる美貌に一目惚れしたんだ」 「……どうも」 告白されている側は何ともそっけない態度で笑いを誘う。 宗太は声のする方へ向かって音を立てないよう静かに移動した。 「誰にもなびかないと有名な筑波くんは誰か決まった相手でも?」 「残念ながらいません。あのぉ、何か勘違いしてるみたいなのではっきり言わせてもらいますが、郷田さん、俺女の子が好きなんですよね。俺の幸せ願うなら可愛い女の子紹介してくれませんか?」 「なっ……」 木の影からこっそり覗くと、絶句している大柄な生徒と、毒舌を吐く小柄な生徒が立っていた。

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