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第19話
すぐにジンはハラン達のもとへと戻ってきた。
ジンの黒く輝くスマートな鎧は、鋭い刺が関節部分にデザインされている。
背中には死神が持つような大鎌を引っ提げ、ジンは暗黒戦士にジョブチェンジしてきたようだ。
『ジンおかえり』
『ただいまぁ(^ー^)』
『それ何の職業!?カッコいいな!』
『これは暗黒戦士。ありがとうケントw』
誉められて嬉しかったのかジンはケントにハグをする。
すぐにそのモーションからケントが逃げ出した。
『ケントに逃げられてるw』
『ケント逃げ足速いw』
『ところでハランとケントは自己紹介くらいした?それとももう仲良くなっちゃった?』
『それが俺達つい先日フレンド登録したばかりだった』
『なにフレだったの?ていうか気付くのおそっw』
『俺は遠目から見てハランだってわかったけどね』
『そりゃまぁハランは目立つもんな。このサーバーじゃ一流プレイヤーだし』
『それよりもケントのことだが、俺の後ろに付かせるから一緒に参戦しても問題ないよな?』
『ハランがそう言うならいいけど……。今までそういうの他のプレイヤーにしたことないじゃん?ケントは特別枠なわけ?』
宗太はハッとしてキーボードを打つ手を止めた。
ジンの言うとおり確かに今まで無関係なプレイヤーをギルドの中へ立ち入る許可をしたことはない。
それなのにどうしてこんなことを自分はしようとしているのだろう。
ケントに庇護欲をかき立てられるのは確かだが、だから何だというのだ。
明確な答えは出てこない。
『可愛い弟みたいな感じ……かな』
苦し紛れに返答する。
『弟~?(´д`)ハランだって俺と同じ高校生だろ』
ケントが言う。
『えーケントも高校生?』
『ん?ジンも?』
他愛もないゲーム内のチャットからここにいる3人ともが、高校生であると判明した。
よくある偶然だ。
『そうそう(^_-)因みに何年生?』
『俺は2年生』
『『え、年上?』』
ハランとジンは同時に同じ言葉を発言した。
「……上級生?」
その時宗太は、得も言われぬ既視感に襲われた。
学校の中庭で見た美人で可愛らしい上級生の姿が宗太の脳裏を過る。
男なのに男に告白され、想定外の毒舌でバッサリと相手を切り捨てたあの男。
あの外見とPC画面の奥のケントがだぶって見える。
似ているのだ。
「まさか……な。そんな偶然は、ある筈ねぇよな」
その場面を思い出しているとギルドのメンバーが続々と揃い、湖周辺が一気に物々しい雰囲気となった。
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