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第28話

「今日はお祭りだよ!あのカボチャを倒して八百屋のマチルダさんのところに持っていくと、マチルダさんお手製の特別なハロウィーンコスチュームがもらえるんだ」 「へぇ、そうなんですか」 「それを着てみんなハロウィーンパーティーに出掛けるんだ。君も挑戦してみたらどうだい?」 「俺、回復魔法とこの棒っ切れしか持ってなくて。俺でも倒せますか?」 ケントが不安そうに尋ねると、冒険者は「ははは」と笑った。 「大丈夫だよ。相手はカボチャだよ。真っ直ぐ突っ込んでくるくらいで爆発したりしないから。目隠ししないスイカ割りみたいなものだと思って楽しんで」 ケントは「はい」と返事をしてその冒険者に手を振った。 「よーし。俺もやってみよう!」 腰に差した木の棒を手に持ち前進する。 するとどこからともなくジャックオランタンが現れ、ケントに敵意を剥き出しにして勢いよく向かってくる。 「わ!ほんとに突っ込んでくるのか!」 衝突する寸でのところでぎりぎり避ける。 避けるとまたケントを狙って突っ込んでる。そしてそれをまた避ける。 ケントは隙をみて木の棒でジャックオランタンを叩いた。 何度か同じ動作を繰り返すと、ジャックオランタンは動きを止めて静かに落ちた。 ジャックオランタンは命が尽きるとただのカボチャに戻った。 「これを八百屋のマチルダさんに持ってくのか」 ケントは地面に転がったカボチャを拾い上げ、八百屋へと向かう。 八百屋へ到着すると店主のマチルダはカボチャの買い取りで忙しそうに動き回っていた。 「すみません。カボチャ買ってもらえませんか」 「あらあら!大きなカボチャだね。このカボチャなら、これと交換でどうだい?あたしが縫い上げたハロウィーンパーティーにはもってこいのコスチュームだよ」 マチルダはケントからカボチャを受け取ると、黒とオレンジを基調とした生地に、背中には黒い羽を生やした小悪魔的なコスチュームをケントへ手渡した。 「きっとお嬢ちゃんなら似合うよ。またカボチャが手に入ったら持ってきておくれ」 「いや、お嬢ちゃんじゃないんだけど……」 どこでもこの容姿は間違えられる。 このコスチュームはもしかして女性用ではないのだろうか? 「あらそうだったの?でもね、そのコスチュームは男女兼用だから大丈夫よ。お兄さんでも似合う筈だから」 「うん、わかった。ありがとう」

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