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第32話

それをのらりくらりと交わしつつ今に至るが、この世界で特定の誰かと結婚することにハランは興味が持てなかった。 どこの世界でも同じだが、自由がいい。 特にこの世界で縛られるのはゴメンだ。 女は好きだしいい出会いがあれば結婚するのももしかしたら面白いのではと思いはするが、ハランに近付く女の冒険者からは、束縛、物欲、過剰な愛情、これらがちらちらと見え隠れしていてげんなりする。 キングに近づく大半が下心を持っていて、女の冒険者にはいい加減うんざりしていた。 だがミレーユは純粋な仲間の延長からハランに恋心を抱くようになった。 だからハランもはっきりと拒絶は出来ないでいた。 「ミレーユはハロウィンコスゲットした?」 「したよ。もうばっちり」 ジンの問い掛けでミレーユの装備が切り替わる。 ふんわりとしたミニスカートはミレーユにとてもよく似合っていた。 ミレーユはハランをじっと見詰め、ハランの言葉を待っているかのようだった。 「可愛いな。似合ってる」 「ハランに言われると嬉しい♪」 「僕も可愛いって思ってるよ、ミレーユ!」 「ジンもありがと♪」 「僕もいるのに、すぐ2人の世界作んないでよね」 「作ってねーよ」 冗談でもやめてほしい。 「ジンってばヤキモチ?」 ミレーユがわざとらしくジンに見せつけるようにハランに抱きついた。 *************** 「……だりぃ」 宗太が画面を見て溜め息を吐く。 こういうコミュニケーションが鬱陶しい。 ここは仲間として現状維持することに全力を注がなくてはいけない。 可愛い女と適当に遊ぶのはいいが、やっぱりゲームで恋愛ごっこはナシだと宗太は思った。 『いちゃいちゃすんなよー。僕消えた方がいいのかなwww』 ハランはジンの頭を撫で、慰める振りをしてあしらった。 この話はもう終わりにしたい。 ハランはすぐに話題転換した。 『あ、そうだ。武器は?』 『カボチャのステッキ?』 『いい加減ねwトリートスティッキーで しょ』 『ん、それw』 『あたしはまだ。あれはジャックオランタンとは別のクエストをクリアしないと貰えないのよ。初心者も貰えるようにレベル差ありのパーティーで組まないといけないんだって』 『なるほど』 『へぇ。ミレーユ詳しいねw』 『だってあのステッキ可愛いんだもん!どうしても欲しいから情報集めしちゃったわ(*^^*)今からみんなでやりましょうよ』 ジンは手を叩いて頷く。 それを見ながら宗太はPCの新しいウィンドウ画面を開いた。今回のイベントクエストについて調べるためだ。

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