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第35話

オバケ探しを始めて5分位経った頃だろうか。 《Halloweenghost見つけたわ!早くきて~っ!》 ミレーユが運良く探し当てたようだった。 早くきてと要請があったところを見ると、ミレーユ1人で片付けられる相手ではなさそうだ。 《今行くね!ミレーユ大丈夫?》 《大丈夫だけど早く来てほしい!街の中心にある広場までゴーストを誘導するわ。そこまで来て!》 《ok》 《了解》 それぞれが探索中の持ち場から街の中心部へ向かう。 「待たせたな」 全員がそこへ集まると子供の姿はどこにもなく、白い体に黒い目玉のゴーストがミレーユに体当たりを繰り返していた。 すぐにハランがゴーストの前に立ちはだかりミレーユが受けていたダメージを肩代わりする。 ミレーユはハランのすぐ後ろで味方の志気を高める舞を踊った。 ジンは暗黒戦士特有の大鎌に暗黒魔法を吹き付けてゴーストへ振り下ろす。 ゴーストはその衝撃に耐えきれず少し後退するが、後ろからはドラゴンの炎が待ちかまえていた。 ケントも覚え立ての攻撃魔法で微力ながらも応戦した。 大分弱ったゴーストの身体から白い煙が立ち込めて辺りが見えなくなった。 何か大きな攻撃が仕掛けられると直感し、ハランは仲間に叫ぶ。 「防御!」 パーンッ……! 弾ける音が響いて、辺りの霧が晴れた。 足元にミレーユが倒れている。 「チッ……」 ハランは舌打ちした。 ハランが咄嗟に発動させたスキルで守り庇ったのはケントだった。 その傍らでダメージを直に受けたミレーユが犠牲となった。 「うそ。ハラン、あたし死んじゃったんですけど!」 死んでも尚、この世界では話ができる。 簡単に縁を切ることはできないのだ。 ─あぁ、やっちまった……。 完全に気持ちがケントに向いていた。 戦闘中の様子が気になってケントばかりチェックしていたのだ。 普通であれば即戦力となる仲間を庇わなければならないのに。 完全に自分に非がある行動だったと宗太は認めた。 「悪い」 ハランが謝罪してもミレーユから返事はなかった。 「ミレーユさん、俺蘇生の魔法使います」 ケントがミレーユに駆け寄る。 だがケントに対してもミレーユからの返事はない。 蘇生は成功したが戦闘不能に陥るとペナルティーがあり、熟練度の高い冒険者ほど、これまで培ってきた経験値が削られ所持金までもが減ってしまう。 それを考えるとミレーユが怒るのも無理はなかった。 生き返ったミレーユはすぐにまた戦闘に復帰した。 「ハラン間違えないで。ケントじゃなくてあたしを守って」 「わかってるって」 「ケンカするなよ2人とも! 次で決めるよ っ!」 ジンの大鎌から必殺技が繰り出された。 ジャンプして大鎌を振り落とす派手なアクションと同時に敵を切り裂く魔法の刃が連続でHalloweenghost目掛けて飛んでいく。 ギィーッ……! ゴーストの悲鳴が聞こえて戦闘は終了した。

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