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第36話
生け捕りにしたHalloweenghostを教会まで連れて行き、依頼人の神父へ話し掛ける。
Halloweenghostは神父によって浄化されtreat-stickという武器へと姿を変えた。
その武器でモンスターを仕留めると運気が上がり、戦利品を獲得する確率が少し上がるらしい。
攻撃力も低く実用性はあまりない。
けれどケントはそのカボチャのステッキを身に着けて嬉しそうにしている。
「ケント、楽しかったか?」
疚しいことは何もないのに会話を聞かれたくなくてジュエルを通さずハランは直接ケントに話し掛けた。
「うん!面白かった!俺まだあまり友達がいないから、ハランに声かけてもらえてすごく嬉しかった」
「そうか」
ケントを誘って良かったと宗太の顔が弛む。
素直で可愛くて、慎ましやかで女のように媚びることはしない。
ハランの側にはいないタイプの冒険者だ。こういう奴は好きだなと思う。
その後ハラン達のパーティーはその場で解散し、ハラン、ジン、ミレーユの3人はエストーニアへと戻ることにした。
「ケントまたね!」
「誘ってくれてありがとう!また一緒に遊んでねーっ!」
3人はケントに挨拶をしてウィンディアの街を出た。
ハランは戦闘時にミレーユを守れなかったことが気がかりだった。
あれからミレーユは殆ど口を開かない。よほど腹が立ったのか、ただ臍を曲げているだけなのか。
どちらにせよ気まずい空気が流れている。
「んじゃ、僕ちょっと用があるから抜けるね!お疲れ~」
「お疲れ」
ジンは場の空気に耐えられなくなったのか、 早々に離れて行った。
「ミレーユ、さっきはごめんな。照準が狂っちまった」
「あの子を庇ったのは偶然なの?嘘でしょ。ジンの言ってたことは本当だったのね。あの子がハランのお気に入りって。今までそんな子作らなかったじゃない。急にどうしたの?ギルドの活動には邪魔なだけよ」
「ケントのレベルに見合った付き合いなだけで特別扱いしてるわけじゃない」
ミレーユから返事はなく、そのままただ目的地へ向かって黙々と歩き続ける。
***************
「はぁ、めんどくせぇな」
宗太はウィンディアに着いたら一旦ログアウトしようと考えた。
ミレーユのご機嫌とりなんてバカバカしい。
ぼうっとPC画面を眺めていた宗太だったが、突然のチャットメッセージに目を見張った。
『だから!ハランにつきまとわないでって言ってるの!あなたまだ弱いじゃない。ハランと一緒に行動しようだなんて100年早いわ。そのことに気付いてないの?それにあなた本当に男なの?どうせ中身はオタクでブスなどうしようもない女なんじゃない?』
「は?」
宗太が画面をぽかんとした表情で見詰める。
『ミスwごめん!今のは見なかったことにして!ギルドに悪影響を及ぼしそうな悪い虫は排除しなくちゃね』
「なんだこいつ。胸糞わりぃ……」
ミレーユの意図がすぐに汲み取れた。
ミレーユはケントへハランに近付くなという主旨のチャットメッセージを送ったのだ。
このメッセージをケントではなくハランへ誤送信してしまったらしい。
こんなメッセージを送られたケントはどんな表情で見ているのだろうか。
ハランのミレーユへの気持ちはここで途絶えた。
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