41 / 138
第41話
終業のチャイムと同時に宗太は立ち上がる。
と同時に後ろから神戸から声をかけられた。
「原田昼飯どうすんの?購買行く?」
「あぁ。お前も屋上行くんだよな……」
宗太が何か考え込む様子で神戸を見る。
神戸は眉間にシワを寄せた。
「はー?いつも屋上で昼飯食ってんだろが」
「……しゃーないか。まぁいいや」
確かにいつもは神戸と一緒に屋上で昼食を取っているけれど今日はちょっと訳が違う。
宗太がこれから屋上で昼食を取るのは健人に会うためだ。
ハッキリ言ってこの時の宗太にとって神戸は邪魔者だった。
だが、邪険に扱うには理由が弱い。
教室を出て神戸と購買へ向かって歩く。
宗太はこの通り銀髪にモデルのような体型で人目を引くが、神戸もまた目立っている。
真っ赤に染められた短髪に宗太と似通った身長。がっしりとした肩幅は周囲の生徒を怖じ気づかせるには十分だ。
購買近くの自販機でコーヒー牛乳を買う。健人がふっと頭に浮かんでもう一本買おうとしたが、ボタンを押すその手を止めて普通の牛乳を購入した。
「めっずらしい。牛乳とか買う?」
神戸が後ろで目を丸くした。
「飲ませたいヤツがいんだよ。わりーか。先屋上行ってるな」
「ほー」
宗太の言葉に神戸がニヤつきながら、購買の人ごみの中へ消えていく。
宗太は神戸を置いて屋上へ向かった。
その足取りはとても軽やかだった。
ともだちにシェアしよう!