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Lv.18ハラン
ケントからの誘いは珍しい。
ケントと一緒に行動する時は大体ハランから誘う時だ。
だからなのか誘われたことが嬉しかった。
「いいよ」
「いいの?やった!じゃあ、次の船に乗ろう」
ケントはぱっと明るい笑顔を向けてくれた。
船を待つ少しの間、ハランは無意識にケントを目で追っていた。
ハランから見えるケントの黒髪、つむじ。
やっぱり似ている。
***************
宗太は画面越しのケントに健人を重ねて見る。
背の高さは丁度胸にぶつかるくらいで、上から見下ろすと健人のつむじが見えることを思い出す。
『俺の学校そろそろ中間テストなんだ。ハランの学校もそろそテスト期間だろ?』
「テスト?……あぁリアルの話しか」
そういえばそんな時期かもしれない。
宗太はキーボードを叩く。
『多分』
『多分?えー、テスト期間知らないのかよー (笑)ハランて勉強出来るの?』
『いや全くw俺は落ちこぼれ組』
『そうなんだ(笑)俺だって頭良くはないけどな。そういえば今日勉強教えて欲しいって手紙もらってさ(__;)手紙渡す相手間違えたのかな』
「ん?」
宗太は一瞬止めた手を再び動かしメッセージを返す。
『ケントの学校って男子校だったよな?それってラブレターとかじゃねぇの?男にモテるって言ってたじゃねぇか』
『やっぱりそう思う?おかしいよな!頭良くもない俺に勉強教えてとかさ。ラブレターでも困るんだけど』
何だか心配になる内容だ。
現実のケントはどんな男なのだろう。
男にモテる男って何なんだ。
『ケント大丈夫かよ』
『うん。最近は手紙がめっきり少なくなったと思ってたんだけど、またこの頃男にモテだしてさ┐('~`;)┌困ってるんだ』
船が到着し、一旦そこでチャットが途切れた。
乗船して各々釣具を装備する。
『で、ケントはその手紙の差出人、知ってる奴なのか?』
『知らない。ちゃんと顔見て断ると諦めてくれる事が多いから、今回もそうしようかなって思ってる』
『ふうん。ケントは何となく弱そうだな。強い奴連れてけよ』
『あーそうだね。不良の知り合いでも連れて行くかな(笑)』
「こいつにそんな知り合いいるのか?嘘だろ」
ふっと宗太は笑いを漏らした。
『不良の知り合い?ケントにそんな友達いるとは想像つかねーなw』
『うん。俺もなんで知り合えたのか不思議に思ってる。そいつ一見怖いんだけど、根はいい後輩なんだ。因みにモデル並にカッコいい。ずるい(笑)』
『へぇ』
面白くない。
宗太は目を細めてPC画面をじっと睨み付けた。
ケントの口から他の男がカッコいいと言ったことに対しての嫉妬だ。
宗太は自分が見えもしない相手の友達に対して嫉妬心を抱いているなんて気持ち悪いことこの上ないが、とにかく面白くない。
『案外そいつもケント狙いだったりしてなw』
男にモテるケントに嫌みともとれる発言をし、すぐに後悔した。
自分は一体何にやきもきしているのか。
ばからしい。
少しの間が空き、 ケントから返事があった。
まさか図星を指され返答に困っていたのだろうか。
『ハラン……誰にも言わない?』
『ん?なに?』
『俺さ、その不良の後輩と一度だけキスしたことあるんだよね』
「は……?」
宗太はチャットの急展開にしばらく身体を硬直させフリーズ状態に陥った。
ハランは誰にも言わない約束なんてしていないのにケントは自分の秘密を打ち明けたのだ。
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