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第53話

『……引いた?(>_<)』 『いや、大丈夫』 そうとしか応えようがない。 『良かった。でさ、ちょっと今そいつと気まずい感じになってて。でも俺はそいつのこと嫌いじゃないんだ。……自分で何言ってんのかわかんなくなってきた』 同性の後輩にキスなんかされれば気まずくもなるだろう。 ─あの人も一応先輩で俺がキスしたんだよな。 頬を染めた可愛らしい健人を思い出す。 そういえば神戸も和也にふざけてキスをしたことも思いだし、宗太は首を横に振った。 ─ばかばかしい。別物だ。 ケントはキスをされても嫌いじゃないと言った。 そこまで嫌がっていないケントは脈ありと思われているのかもしれない。 気になりはするが、チャットできる会話しているのは所詮ゲームの世界だ。 ケントは健人と違う。 それにしても滅多にないであろう男にモテるという環境にケントも健人もいるというのは共通している。 『ところでケントはリアルも小さいのか?』 『聞くな』 『やっぱそうかw』 『ハランはリアルも背が高そうだなー(>_<)』 『ケントよりは多分ww』 『む。生意気な後輩(笑)変な話してごめんな。話したらちょっとスッキリしたかも』 『そうか』 『でさ、そろそろテスト週間なんであんまりイン出来なくなる』 『そっか。寂しいな』 『いやいや、お前も勉強しろよ、ハラン』 『はいはいw』 違う世界の違う人物だ。 宗太は一旦リンクさせてしまったゲームとリアルを切り離した。 この日の釣りの成果は上々で、自分の釣った魚を全てケントにあげた。 ケントが喜ぶと自分も嬉しい。 リアルとゲームを切り離しても、ケントと健人は似ていて、ケントはハランの守りたい人であった。

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