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Lv.25原田宗太

宗太は校門の外で健人を待っていた。 この時間帯は秋といえどかなり冷え込む。 頼まれたわけではないのだが、健人の様子が心配で、しばらくは図書室の隅に本を読む振りをしながらいたが、閉室時間になり閉め出されたのだ。 黒川がどんな手を使って図書室に居座ったのかわからないが、健人は眠っていたからそれは黒川にとって好都合だったに違いない。 心配ではあったがまだ教師のいる時間だ。戸締まりもしていない図書室で何か事を起こすとは考えにくい。 宗太はそう考えて校門で健人を待っていたのだ。 腕時計を見るともう午後7時半近い。 さすがに遅過ぎる。 様子を見に行こうかと考えていた矢先、ようやく健人と黒川が校門から出てきた。 「おい」 暗くて気付かなかったのだろう。 素通りする二人に宗太は声を掛けた。 「あ、原田」 「え、……原田と知り合いなんですか」 「あぁ、まぁ」 言い淀む健人の腕を宗太が取る。 「この人俺と帰る約束だから」 有無を言わさぬ態度で健人を引き寄せる。黒川の視線は暗がりの中でも鋭いのがわかった。 「そうなんですか、先輩?」 健人はちらりと宗太の表情を伺い見て黒川に言った。 「ごめん。そうなんだ。じゃ、また明日な」 宗太は健人の腕を引き、歩くように促した。 振り返ると、健人と宗太の後ろ姿を黒川がじっと見詰めているのがわかった。 「おい、明日ってなんだよ。学校休みだろうが。まさか黒川と約束してんじゃねぇだろうな」 健人の目が泳ぐ。どうやらそうらしい。 「ここまでくると呆れるな……」 宗太は溜め息を吐いた。 さて、どうしたもんか。 「でも、でも……悪いやつじゃないし、俺のこと慕ってくれて、こんな兄弟がいたらって……あ、あいつ一人っ子なんだって」 「一人っ子でも二人っ子でも何でもいいけど、明日は俺と神戸もついて行くからな」 「は?ちょっと待て。迷惑にも程があるだろ。急にそんな大勢で行ったら黒川だってびっくりす」 「しねえよ!」 話の語尾に宗太が言葉を被せる。 「あんたも並木先輩でも連れて来いよ。俺らじゃ不安だったらな」 「……わかった」 健人はバツが悪そうに下を向く。 宗太は苛立ちを隠せずに舌打ちした。 黒川はいずれ何らかのアクションを健人に起こす筈だと宗太は踏んでいた。 健人は黒川にまんまと騙されるその時まで黒川の本性に気付かない可能性が高い。 そうさせない為には一緒に居る必要があった。 「和也明日は用事あるのかな……」 悔しいが、まだまだ信頼度は自分より和也の方が上である。 それを勝ち取りたいと宗太は思う。

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