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第73話
宗太の迫力に圧倒されたのか、後退りする黒川の髪を掴んで、扉の向こうから引きずり出した。
同時に足で扉を蹴飛ばし全開にする。
「……!」
ベッドの上に健人はいた。
全裸にされ着ていた衣服で後ろ手に両手を縛られ、剥き出しにされた下肢はゆらゆらと揺れて足首に下着が引っ掛かっている。
白い小振りな尻の間に何かが挟まっていて、それはすぐに性玩具だとわかってしまった。
最悪の衝撃的光景だった。
「……は………んぅ……も、やだぁ、これ、とってぇ……っ」
切羽詰まったような切ない健人の声は原田の初めて聞く声だった。
苦しそうだが艶めいている。
刺激が強すぎるのか、健人は宗太の存在に気付かない。
悶えながら、腰を淫らにくねらせる。
宗太の中でプツンと何かが切れる音がした。
「おい黒川……あの人に何した……」
「ひっ……」
掴んだ髪を引っ張って、黒川の体を壁に叩きつける。
「答えろ!!」
一発ぶち込むつもりで拳を振り上げた。
「わ、わかった……!答える!……媚薬だよ……」
「媚薬?」
「性的欲求を引き起こす薬だ……それを飲ませた。け、けどっ、1回使ったところで副作用なんか出ないし、それにこんなに効くなんて思ってなかった!」
「何にしても薬飲ませてコマすとか……最悪の下衆ヤローだな。死ね」
許せない。
自分を必死で守っていた健人の心の中に入り込み、踏み荒らしたこの裏切り行為。
許せない……!
宗太は拳を黒川目掛けて振り下ろした。
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