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Lv.30ケント
黒川の家であんなことがあり、宗太の家で休ませてもらって、それから。
それから……。
「告白、されたんだよな……?」
健人は自宅へ戻って自室のベッドで放心していた。
黒川にされたことは、怖くて屈辱的で死にたくなるほど恥ずかしくて、一生忘れられないだろうけど、それ以上に宗太に囁かれた「好き」の言葉が、健人の心をふわふわとさせる。
「俺のものになれとか、第一俺はモノじゃないし」
唇を喰まれて吸われて、愛撫するみたいなキスをされ。
それに誰にも見せたことのないあんな乱れた姿を見られて……。
─う、わああぁ…………!
思わず頭を抱えてベッドの上を右に左に転がった。
思い出すと爆発してしまいたくなるほど恥ずかしい。
健人はかあっと顔が熱くなるのを感じた。
─どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
明日が休みなのがまだ救いだ。
どんな顔して会えばいいのか解らない。
かと言って助けてくれたんだし、ちゃんと改めて礼もしなくてはいけない気もする。どうしたら……。
─和也に相談してみる?
何て……?キスされて、触られて、あそこ擦られて告白されてって? ……ないない!
和也はそれを聞いてニヤニヤして悪趣味に喜びそうだ。
それを思うと言いたくない。
出来れば自分を知らない第三者的な誰かに話を聞いてもらいたい。
そんな考えから一人それに当たる人物を思い出した。
「あ……ハラン……とか」
テストが終わるまではやめておこうと思っていたが、ちょっと話すだけだからと自分自身に言い聞かせ、健人はパソコンを起動させた。
すぐにlostworldのアイコンをカチッとクリックする。
ほんの数日振りなのに、ものすごく久々な気がする。
オープニングムービーをすっ飛ばしログインした。
何度も見慣れたムービーに、ログインする為のIDとパスワード入力。
慣れた作業行程なのに、健人の指は緊張で僅かに震える。
ケントがウィンディアの自室でベッドに寝転んでいる。
「いるかな……」
フレンドリストを開くとハランはログインしている。
ついでにジンもミレーユも。
トガーはまだいない。
健人は思い切ってキーボードを叩き始めた。
『ハランお疲れ様!(^-^)/』
返事はすぐに返ってきた。
『お疲れ。あれ、しばらくインしないんじゃなかったか』
『え、とー。気分転換ってやつだよ(`・ω・´)』
『w』
ハランがいつもと変わりないことにほっとする。
『ケントどこにいる?』
『ウィンディアだよ』
『そっか。そっち行ってもいい?』
なんというナイスタイミング。
ハランと気が合ってよかった。
健人は画面越しにほっと溜め息を吐いた。
『うん。丁度俺もハランに聞いてもらいたい事あるし』
『わかった。すぐ行くからそこで待ってろよ』
待ったのはほんの2~3分。
ハランはすぐにウィンディアまで飛んで来てくれた。
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