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第90話
宗太はいつの間にかまた兆しを取り戻した健人の性器と自分のものをピタリとくっつけ、ひとまとめに握る。
「え、わ、何してんのっ」
「あんたがまた勃起してるから。顔に似合わず絶倫なのかよ。やらしいな。これ一緒に扱いていい?いやか?」
「絶倫なわけないだろ!原田のキスがやらしいから……。ていうか、原田はこんな風にくっつけてやじゃないの?」
「全然。こうすると違いがよくわかっておもしれぁな。あんたのはやっぱり小さい」
「っ、ほっとけよっ!」
面と向かって性器の大きさについて指摘され、違う意味で顔がかぁっと熱くなる。
そんな健人の耳元に宗太は唇を寄せた。
「……可愛いって言ってんの」
「ひゃ」
程よく低く、熱っぽい吐息混じりの宗太の声は鼓膜を抜けて下肢へと、電流が流れるように快感となって伝わった。
宗太はそれを見てくすくす笑っている。
「やっぱり可愛いって言われんの弱い?」
お互いの先端から溢れる蜜で宗太が手をスライドさせる度、いやらしい音を立てる。
手から施される滑った快感に、宗太のものとが合わさって、おうとつ部分が擦れるのが堪らない。
「ぁ……ん、あっ、っ」
「気持ちいい?」
宗太の問いに健人はこくこく頷く。
「ん、ん……きもちぃ……っ、もっと、擦って……っ」
快感から零れた目尻の涙を宗太が吸う。
「淫乱だな、先輩」
そう言って、宗太が更に追い立てるように大きく手をスライドさせた。
健人はもう何も考えられず、ただひたすら上り詰める感覚だけを追った。腰の揺れが止められない。
「んんっ、あっ、あっ……またでそぉ、ぁっ」
「いいぜ、いけよ」
「……ぁんっ!」
ほぼ同時に上り詰め、宗太の手が弾けた精を受け止めた。
荒い呼吸が収まるころには頭も冷えて、自分のしたことに愕然となった。
「……し、死にたい」
「死にたいって。あんだけ喘いでたくせに」
宗太が鼻で笑った。濡らしたハンカチで手を拭きながら、涼しげに言うところが憎たらしい。
「大体こうなったのは原田のせいだぞっ」
「でも、すげぇ気持ち良さそうだったぜ?」
「うわーっ!言うな!!」
健人が、バッと耳を塞ぐ。
「おい、耳じゃなくて下隠せよ」
耳を塞いだまま自分の姿を確認すると、下だけ剥き出しで足首にスラックスと下着が引っ掛かっている状態だった。
それを見て健人は我に返った。
慌てて履いて、更なる非常事態に慌てることとなる。
「あ!」
「あ?」
「……今何時」
「あー。5時間目終わったな」
「……テスト」
「サボっちまったな」
「ばかっ!原田のばかっ!お前のことなんか好きじゃないからな!!」
「はいはい」
とっくに身嗜みを整えて余裕の表情を見せる宗太は、全く慌てた様子もなく憤慨する健人を軽くあしらう。
その余裕はどこからくるのか健人には全く持って謎だった。
結局素行の悪い宗太に健人が連れ回されたということで、健人はお咎めなく時間を遅らせてテストを受けることが出来た。
校則違反・規則破りの常習犯である宗太も何故か何のお咎めもなく、学園から特別扱いでも受けているかのような宗太の素性が改めて気になったのである。
何も知らない宗太の事をもっと知りたいと思った。
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