102 / 138

Lv.39原田宗太

警戒心剥き出し立った子猫に餌付けし続け、やっと懐いたかのようだ。 健人の方から寄り付いてくるなんて。 思わず頬が緩んでしまう。 和也の登場で叶わなかったが、もっとキスして、触れると甘い声を零しながらふにゃりとなる身体を愛撫したかった。 愛おしいと思うと同時に体も欲しいと思ってしまうのはどうしても仕方のないことだけれど、現実にそれが叶うのは近い未来で有りうるのだろうか。 想像では健人をもう何度も汚してる。 現実に際どいことはしたけれど、その先は叶うのだろうか。 二人きりの屋上での昼休みは、キスを交わしただけで終了してしまった。 宗太の前で健人がパンをかじって牛乳を飲み、その後ろで和也と神戸がじゃれている。 邪魔されたとばかりに宗太が溜め息を吐いた。 リスかウサギみたいに小さな口でもごもごパンを頬張る健人を見て、ふとケントを思いだし、聞いてみたくなった。lostworldのことを。 「そういや……」 「ん?」 くりっとした黒目がちの瞳が宗太に向けられる。 「あー……前に俺んちで言ってたよな。あんたゲームはまってるって」 「あぁ。ふん……ひっは。ひょっとまっへ」 健人が食べながら返事をして、大急ぎで咀嚼し飲み込んだ。 「っん。そういやお前には話したんだよなロストワールドのこと。それがどうかした?」 「相変わらずやってんのか」 「やってるよ。ほぼ毎日」 「ふぅん」 健人の顔とロストワールドという言葉に、自然とケントの姿を思い出し、ともすればクリスマスイベント楽しみだなと口を滑らせそうになり、手で口許を覆う。 知っているのは自分だけ。それが歯痒くもあり、それもまたゲームの様に楽しんでいる自分がいる。 これが健人に知れたら一体どうなってしまうのだろうか。 「あのさ」 「なに?」 「例えば。例えばだけど」 「うん?なんだよ」 「そのゲームの中でいつも一緒に遊んでる相手が、もし身近な人間だったりしたらどう思う?」 「どう思うって……」 健人は少し考えた素振りを見せる。 「嫌いなヤツだったらゲッて思うかもしんないけど、好きなヤツなら嬉しいかな」 そう言って、宗太に向かってにこっと微笑む。 柔らかくふわっとした可憐な微笑み。 「……やば」 ─あれ。この人こんなに可愛かったっけ?俺に向かってこんな顔見せる人だったか? と、目眩を起こしそうな程、宗太の心がふわふわと浮き上がる。 「って大丈夫か?お前顔赤い」 「仕方ねーだろ。あんたが可愛いからだ」 「っはあ!?」 健人もまたつられて赤くなる。 それを見た和也が、2人の間に座り込んだ。

ともだちにシェアしよう!