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Lv.40ケント

「よっしゃっ!20!」 ケントがレベルアップした瞬間、健人はコントローラーを放り投げて手を上げた。 「あ、やば」 ゴトッと音を立てて床に落ちたコントローラーを慌てて拾うと、また直ぐモニター画面に向き合った。 「えーっと……ハランはいるかな」 レベルアップを誰よりも先にハランに伝えたくて、フレンドリストを開く。 ハランのインが確認できたので、直接メッセージを送った。 『ハランお疲れ!なったよ20(*^^)v』 すぐに返事が返ってきた。 『おつかれ。おめでとう!』 必要以上の言葉がない為、戦闘している最中なのか、取り込み中であることか窺えた。 付き合っているといっても、やはり未だに気を使ってしまう。 今忙しいのではないか、ギルド活動の邪魔になっているのではないか。 それくらいのことであれば、相手が誰であろうと気にかけるべきことなのだろうけれど、ハランは一応恋人だ。 多少の我が儘もハランなら嫌な顔せず聞いてくれるとわかっている。 けれど、今すぐにアンダーグラウンドへ連れていってほしいと、その一言が言えない。 「あぁどうしよ……でも行きたいんだよなぁ」 だけど、どうしても20になった今、アンダーグラウンドへ行ってみたい。 そこへ行くには既にそのクエストを終えている誰かと一緒でなければならないということを聞いていたので、健人はまたフレンドリストを開いた。 「トガーは……パーティー中?んー彼氏かな……」 恋人ができたのだとトガーに聞いたからか、一緒にいるのは彼氏なのでは?と想像してしまう。 それがもし当たっているとしたら、彼氏とデートしているということになる。 そこを邪魔するというのも気が引ける。 「あ」 さっきまでパーティー中だったジンがソロに戻っている。 健人は迷うことなくジンへメッセージを送った。 『ジン、お疲れ様ー(^^)/今ちょっといい?』 『ケント!お疲れ様(^o^)いいよwどしたの?』 ジンは直ぐに返事をくれた。 『20になったよ!』 『やっとかwおめでと~!』 『ありがと(^_^)vそれでもし今時間あったら、アンダーグラウンド連れてってくれないかな?』 『え、僕に?ハランはいいの?』 ハランの文字に一瞬戸惑う。 ケントとハランのことを知っているのはトガーだけだと思っていたが、ジンは自分とハランの微妙な関係を知っているのだろうか。 『ハランは今忙しそうだから……でもアンダーグラウンドには早く行ってみたくて』 『そっか。ちょっと待っててね』 それから本当に少し待たされた。 返事がきたのは2~3分後だった。 『いーよ!OK出たよw』 『え』 どういうことだろう。OKが出ただなんて。アンダーグラウンドへ行くには何か許可でも必要なのだろうか? 『最初はかなり渋ってたけど、ケントがどうしても今行きたいって言うならいいよって。ハランがw』 『えっ!ハランに聞いたの!?』

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