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第106話

アンダーグランドの地を踏んだところからこのゲームは本当のスタートを迎える。 ばらばらになってしまった大陸を一つにするため、種族間の争いを諫め、真の敵を倒すのだ。 その為にアンダーグランドでは優秀な人材を募集している。 アンダーグラウンドまでの同行人は言わば紹介人だ。 今回ケントはジンにその役を頼んだが、ジンの紹介がなければアンダーグラウンドへの通行証は発行されない仕組みになっている。 ケントとジンはイジー草原で待ち合わせすることにした。 *************** 広大なイジー草原の草花の香りをすんと吸い込みケントは辺りを見渡した。 獣族のジンが漆黒の鎧に身を包み、大鎌を背中に装備し、地面に生えているキノコを採取していた。 「ぷはっ」 メチャクチャ格好いいのに地味にキノコを集めているジンが可笑しくて、つい、健人は笑ってしまった。 「ジン、お待たせ!」 ケントの呼び掛けにジンが振り返る。 ジンは採取したキノコをパクっと口に入れてこちらへやってきた。 「ケント!会うのは久しぶりだね。相変わらず可愛いなぁ」 「可愛くないけど一緒に遊ぶのは久しぶりだよね」 「あ~ごめんごめん。そのヒーラー装備カッコいい!」 「フォローしなくてもいいよ別に」 ぷくっと頬を膨らますケントを見てジンが笑う。 今回のレベルアップと同時に今装備できる最高の物を購入してきた。 雷光のチュニックという特定の属性魔法から身を守ってくれる上衣を買ったところで所持金がすっからかんになり、下衣は防御力を重視したふんわりとしたパンツで安物だ。 せめて移動中の重荷にならないようにしなくてはと気構えていたけれど、ジンの格好いい見た目からは想像し難い癒し系のキャラに余計な力がふっと抜ける。 「じゃあよろしくお願いします」 ケントは一言添えてペコリとお辞儀した。 「こちらこそ~!気楽に行こう」 「うん!」 ケントとジンは早速目的地へ向けて歩き始めた。 アンダーグラウンドまでの道のりは長い。 イジー草原を抜けて、沼地へ。 その先の荒野を通り抜けるとアンダーグラウンドが管轄するエリアとなる。 ジンの後ろを追うようにしてケントは歩く。 徒歩で移動することは通行証を発行するための条件の一つだった。 乗り物に頼らずともモンスターの間を潜り抜けるくらいの度胸と根性がなければアンダーグラウンドには入れないらしい。 こちらの動きを感知して離れた場所からでも襲ってくる特殊なモンスターにさえ気を付ければ、只の散歩みたいなもの。 そんなに難しいことではない。 「ちょっと遠いけど、ちゃんとケントは僕が責任持って送るから安心してね」 「すごく心強いよ!ありがとう」

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