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Lv.41ハラン
ケントのレベルがやっと20に上がったということをジンからのメッセージで知った。
今すぐにでもケントの側へ行き祝ってやりたかったが、ハランの隣にはミレーユがいて、すぐには動けない状況に苛立っていた。
ミレーユもまた苛立ちを隠すことなく、腕を組みながらハランを睨むように、右に左に重心を移動させて立っている。
組んだ腕が乳房を寄せてチューブトップの隙間に大きな谷間を作り、重心の移動は腰をくねらせているようにも見えるが、これは男の目にどう自分が写るのかを知っている計算しつくしたミレーユの打算的な仕草だ。
「ねぇ、ハラン。あたしは今あなたじゃ太刀打ち出来ない規模のチームを結成しているところなの。でも今ならまだハランと手を組んでもいいと思ってる。だから対抗するのをやめるなら今よ」
ミレーユはまだハランとクリスマスイベントを共にしたいと思っていた。
だからこうしてしつこく付きまとっているわけだ。
だが、そもそも対抗なんてしていない。
そんな意識はこれっぽっちもない。
しかし邪魔者であることに変わりはないから結局は対抗せざるを得なくなるのだろうか。
「そんな脅し意味ねぇよ。俺はケントと組む。あ、そうだ。どうせなら敵対するんじゃなくて手を組めばいいんじゃねぇか?協力しようぜ」
ミレーユはケントを蹴落としてハランとイベントに参加したいのだ。
その気持ちを知った上でそんなことを言うハランにミレーユは怒り声を荒げる。
「冗談じゃないわ!どうしてケントと組むあなたと協力しなくちゃいけないの!?あたしは、ハランと組みたい。ハランが好きだから。本当に好きなの、ハラン。ハランの為なら何度でも死ぬ覚悟もある。……それでも叶わないのなら、徹底的にあなたの邪魔をするだけよ」
「これ以上話すのは無意味だな」
話は平行線である。
ハランは左右に首を振り、拒絶を示した。
こっちもメンバーを集めなくてはイベントを楽しむどころではなくなりそうだ。
「じゃあ一つだけ、特別に提案してあげるわ」
……これ以上まだ何か話すつもりなのか。ハランは無意識に舌打ちした。
「あたしと会って。そしたら今回のイベントのことは考え直してあげる。これならどう?」
─会う?ミレーユと……?いや、リアルのミレーユとか?
「会う理由がねぇな」
ミレーユは組んでいた腕を外し、するっとハランの腕に絡めた。
「きっと、本物のあたしと会えばお気に入りのケントなんて只の男だって実感すると思う。そうすればきっとハランだってあたしの方がいいって考え直すことになるわ」
「思い上がりも大概にしてくれ」
「万が一、それでもハランの気が変わらないのなら……潰すわ。ハランもケントも」
例えミレーユに会ったところで、自分の気持ちが揺るがないのは解りきっている。
会うことに何の意味もない。
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