114 / 138
Lv.43原田宗太
集合場所はオフ会を予定しているカフェレストラン近くにある小さな公園だ。
ギルドwantedのメンバーがミレーユの他にも数人参加するらしい。
時間より早く到着した宗太は公園の様子が見えるファストフード店でジンにスマホからSNSアプリを使ってメッセージを送った。
『お疲れ。思ったより早く着いた。ジンは今どの辺だ?』
『やぁハラン(^o^)/あと少しでこっちも着くよ。ちょっと緊張するなー』
『悪いな。まさかジンにケントの振りしてもらうことになるなんてな。申し訳ない(汗)』
『いやぁ、いいよー。ただちょっと今顔ケガしててガーゼ貼ってる。マスクで殆んど隠れてるけど。それに俺、ハランの言うリアルケントみたいな美少年とかじゃないからね』
『ケガ?大丈夫なのか?大事にしろよ。美少年の件は俺しか知らないことだし平気だろ(笑)ところでジンは自分を俺って呼ぶのが素なのか?』
『あーうんwボロが出たwいやーそれにしても、ケントの振りかぁ。俺に出来るかな(・・;)』
『俺とケントの関係を知ってるのはジンだけだ。よろしく頼むm(__)m』
『まぁそうだよね。リアルとあっちの二人の都合を知ってるしね。あ、そろそろ駅着くよ。じゃあまた後で!』
『あぁ。待ってる』
宗太がジンに参加を依頼したのはこのオフ会でミレーユの思惑を挫かせる為だった。
現実の女を見ればハランの気が変わる、現実の女に心変わりするとミレーユは思い込んでいる。
宗太はそれを知り、現実のハランも男の恋人がいるとわかればミレーユも手を引くのではないかと考えた。
宗太にとってゲームの仲間をリアルで繋ぐのは非常に煩わしい事だが、そうまでしてミレーユに諦めさせたいのには訳があった。
今回のクリスマスイベントはケントと成功させたい。誰にも邪魔されたくないのだ。
同時にこんな理不尽なオフ会を開きハランとケントを引き離そうとするミレーユに怒りを覚えた。
宗太はジンの到着を待ちながら、手持ちのコーラを吸い上げた。
窓ガラスから公園を見ていると見知った顔がいて加えていたストローがポトリと落ちる。
「……んでだよ」
見間違う筈がない。健人だ。
「っのクソ女」
この時初めてケントもミレーユから招集された一人なのだとわかった。
ミレーユがケントにまで声を掛けていたなんて……。
だが考えてみれば、ミレーユは女の自分を見せつけたいのだから、その場にケントを呼んでいても別におかしい話ではない。
宗太はチッと舌打ちする。
となると、健人の隣の人物もまた、オフ会のメンバーで間違いないだろう。
遠目からでも健人が談笑しているのがわかった。
ジンにケントの振りをしてもらう計画はどうするべきか。
宗太が考えているとスマホのバイブがメッセージの着信を告げた。
ともだちにシェアしよう!