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第120話

罪滅ぼしとはあの時のことを言っているのだろう。 健人はすぐに気付いた。 黒川は自分がちょっとズレていることも知っている。 自分にしたこともあの時の黒川にすればちょっとした悪戯程度のことだったのかもしれない。 けれど今はそれがおかしいのだと自覚して、こうして健人を助けようとしている。 いや、健人だけではなく宗太も一緒にだ。 黒川がにこりと微笑んだ。 「先輩が嫌がることは絶対しません。俺、原田みたいにケンカ強い訳でもないし。ただ、無力な高校生をリアルに巻き込んだことが許せないだけ」 そう言って黒川の視線が先を歩くミレーユへと移動した。その視線はとても冷ややかだ。 「……」 当然黒川も怒っているのだ。 確かにそうだ。黒川の言う通りだと健人は今更ながらに気が付いた。 前を行く宗太は未成年の自分達がいい大人に振り回されているこの事実をどう受け止めているのだろうか。 そもそもたかがゲームだ。lostworldのアバターに自己投影しその世界で楽しく遊びたいだけだったのに。 なぜこんなことになったのか、よくわからない。 ただ……。 ミレーユに宗太を取られるのは絶対にいやだ。 その気持ちだけは揺るぎないものだった。

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