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Lv.47ハラン
オフ会の帰り道、別れ際に宗太はいてもたってもいられない気持ちで健人を見ていた。
このまま帰したくない。
ミレーユとのいざこざの中での告白は、本物だったのだろうか?
俺を好きって本当か?と問い、もう一度健人の口から、好きという言葉を聞いてみたい。
そしてもう二度と今回のように嫌な思いはさせたくない。
結局何も言葉にすることができず、柄にもなくそんなことを胸に抱えて帰路に着いた。
帰宅後すぐにlostworldへログインする。
そしてほぼ同時刻、ケントとジンのログインを確認した。
倉庫の荷物を整理しつつ、ケントと話したいなとぼんやりしていると、ポンとチャットメッセージが表示された。
『今日はお疲れ( ・∇・)』
ジンからのメッセージだった。突如笑いが込み上げる。
中身が黒川だなんて微塵も思わせない変貌ぶりに「すげーな」と、感心してしまう。
『お疲れ。今日は助かった。ありがとうな』
『いえいえwまだ噂の段階だけど、ミレーユのクリスマスイベントチームは解散するみたいだよ♪』
『ほんとか?』
『クロロの話だと、自分がやっちゃったことを相当気に病んで引退するしないで泣きついてきたらしいwww』
『なるほどな。まぁ居づれーか。いい大人がこんなことにムキになるなんてカッコ悪ぃしな』
『だろうね。こんなことで前科持ちになるくらいなら引退した方がミレーユの為だよね』
『あぁ。……あのさ』
宗太はジンとしてではなく黒川に聞きたい事があった。
『何~?』
『ケントのことだけど……』
『……あぁはいはい。ぶちのめした俺がジンで驚いたよな』
『あぁ。それにあの事に関しちゃ、俺は許せそうにねーけど、あの人はお前のことどう思ってるんだ』
その返答次第ではジンを認め、黒川を許してやってもいいと思っている自分がいて。
「俺も甘ぇな」
良くも悪くも健人の影響に違いないだろう。
『先輩はああ見えて結構男気があるっていうか。気持ちよく俺を許してくれたよ。多分先輩は俺のことを弟みたいに思ってくれてる部分があって、俺は兄弟がいないから余計に同情されたのかも。あんな事をしたのも俺が寂しいからだと多分勘違いしてると思う。そこに便乗して謝った俺もどうかと思うけど、先輩は俺を許すって言ってくれた。ほんと、あの人内も外も清らかだよね。原田が夢中になるのはよくわかるよ』
黒川の内情に興味はないが、結果、こいつを許したのか。
健人は清らかで優しく、甘い。
それが手に取るようにわかるから心配でやきもきする。黒川にあんなことされたのに許すなんて。
『お前にされたことなんて屁でもねーんだろうな。あんな成りでも男だから』
『そうかもね(* ̄ー ̄)あ!ケントログインしてるよ~。じゃ、ごゆっくりね~♪』
そう残してジンはログオフした。
宗太はケントの居場所を確認して、今すぐにでもケントに会うべくイジー草原を目指す。
ケントに会ったらまず何を話そうか。後ろから抱き着いて驚かそうか。
そんなことを考えただけで心が踊る。
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