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第128話
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ハランがイジー草原に降り立つと遠くにケントが見えた。
小物を狩って素材集めでもしているのだろうか。ハランはケントに呼びかける。
「ケント!」
「ハラン!」
ケントはハランに気付くとすぐに走り出しハランの元へ向かう。
ハランもまたケントへと歩み寄る。
「あ、わっ」
途中、ケントが足元を雑草に取られ、前へかくんとつんのめった。
すかさずハランが腕を伸ばしその細い身体を支える。
「ありがと……」
ケントはハランを見詰め、「へへ……」と笑った。
─……くっそ可愛い。
時々訪れるデレと呼ばれるものに目眩がしそうだ。
ハランは自分自身を静めるかのように額を押さえた。
今ならあの時の告白の事を聞けそうだ。
「なぁ。俺のこと好きってほんと?」
「……さぁどうだろう。コウモリの羽集めるの手伝ってくれたら教えてやってもいいけどな」
はぐらかされた。
「まぁいいけど」
そこから互いに無言でのコウモリ狩りが始まった。
コウモリは羽も肉も金になる。余すところなく使えるし、攻撃力が低いヒーラーでも難なく倒すことのできる貴重なモンスターだ。
恐らくケントは無理なく金を稼げるので、コウモリの羽を集める仕事を受けたのだろう。
それよりも、あの時のオフ会でのこと、聞きたいこと、話したいことが山ほどあるような気がして何だか落ち着かない。
悶々としながらコウモリを狩っていたところでケントが言った。
「ハラン、何枚集まった?」
「5枚」
腰に装着している布袋の中はコウモリの羽でいっぱいだ。
「えー!」
「なに。足んねーの?」
「じゃなくて、俺よりドロップしてるー。なんで!」
「知らねぇ。で、足りてんのか?」
「うん。これでまたアンダーグラウンドに戻れる。ありがとう」
「俺の方が先に始めたのに……」と、ぶつぶつ文句を言うケントにコウモリの羽を渡し、ハランはケントをじっと見詰めた。何でもいいから話したかった。
ハランの視線に気付いたケントがハランへ向き直す。
「あのさ、明日お前んち行ってもいい?」
「……え?」
「だから……。学校の帰りにお前んち寄ってもいい?って聞いてんだけど」
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宗太は目を疑った。
まさか健人からそんな台詞が出るなんて思ってもみなかったのだ。
その言葉を理解した途端、ぼわっと顔が熱くなる。驚きでタイプする指が心なしか震えた。
『早い時間なら誰もいねーけど、夜になると姉貴とか帰ってくる』
『そんな長居しないって。原田と2人でゆっくりしたいだけだから。それに俺は原田の家族がいたって別にいいけど』
それじゃエロい事が何も出来ねーだろ!と頭の中で反論するがそれが知れたら健人が来なくなるかもしれないと思い直して、そこは半分諦めることにした。
『じゃ、来れば?』
『うん。明日一緒に帰ろ。校門のとこで待っててくれる?』
『おう……』
なんだこれは。
健人は一体どうしたというのだ。
自分に対するバリアが完全に解けてしまったみたいだ。
この人はこんなに、こんなに素直で可愛かっただろうか?
俺がおかしいのか?
いや、あの人マジでデレ過ぎだろ。
宗太はPCの前で真っ赤になって頭を抱える。
健人の小悪魔ぶりに翻弄されたこの夜、屋上で堪能した健人の媚態や、あれやこれを思い浮かべて、悶々としながら宗太は眠りにつくこととなった。
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