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Lv.48筑波健人

話したいことは山ほどあった。 lostworldのこと。これからのリアルのこと。 「お邪魔します」 緊張のあまり恐る恐る挨拶しながら、二度目になる宗太の家へ訪れた。 「誰もいねぇから」 ぽいっと脱ぎ散らかした宗太の靴を律儀にも揃えてやり、健人もまた靴を脱ぎ揃え、コートを脱ぐ。そして真っ直ぐ自分の部屋へ向かう宗太を追いかけた。 初めて訪れた時は普通の状態じゃなかったし、落ち着いて宗太の部屋を見ることも出来なかったけれど、今こうして部屋を見渡すと、 モノトーンで纏められた部屋がとても宗太にぴったりだと思った。 「ここ座れよ」 とすんと、宗太がベッドに腰を下ろし隣をポンポンと叩く。 健人はこくりと頷いて宗太の横に腰を下ろした。 宗太のベッドだと意識した途端、かあっと頬が熱くなる。きっと耳まで赤くなっているだろう。 そんな健人を見て、宗太が腕を伸ばし肩を抱き寄せた。 「っ!」 心臓が止まりそうだと思った。 「その……、確認するまでもねーとは思うけど、昨日の話は嘘じゃねーよな?」 そう言った宗太の瞳が、心配そうに揺れていて健人の胸がきゅうっと締め付けらる。 「うん。嘘じゃない。最初は原田のこと怖いなって思ってたけど、今は本当に好きだよ。色々と感謝してる。ありがとな」 「あんたはリアルもゲームも危なっかしくて放っておけなかった」 「はは……」 その通りだ。 返す言葉がなくて笑うしかない。 「それにしても本当にびっくりした。今までお互いのことを知らずに俺達lostworldで遊んでたんだな」 「それな。ケントがあんたに瓜二つでこっちこそ驚いた。あっちであんたの話聞いてるうちに、聞いたことのあるエピソードがいくつかリアルとリンクして、もしかしてって思ったら本当にあんたがケントだったから物凄ぇ興奮した」 「原田は気付いてたんだな。俺、知らないで原田のことハランに相談したりして、超カッコ悪いんだけど……」 「それは悪かった」 「いいよ、もう」 心なしかしゅんとした宗太の髪を健人が撫でる。 その姿は怒られている大型犬を彷彿とさせるものがあって、健人はくすりと笑った。 いつから宗太は自分をケントと知り一緒に冒険していたのだろう。 何も知らなかった自分の反応を見て楽しんでいたのではと、腹立たしく思わなくもないけれど、lostworldでのハランはいつでもケントに優しくて紳士的だった。 そして今となれば、何が先で後だったのかなんてどうでもいい。 今、この時が、一番大事。 ─愛しい、可愛い……。 そんな感情が湧いてきて、こんなちょっとの触れ合いなんかじゃなく、もっと深く繋がりたいという欲に駆られた。 ─原田ともっと、深く繋がりたい。 そんなことをしに来たわけじゃないのに。 きっと自分は今、すごく物欲しそうな浅ましい表情をしているに違いない。 だってこんなにも、身体が宗太を欲して下腹の下がうずうずしている。 「原田、好き。大好きだ」 宗太がくっと息を詰める音がして、不意にぎゅっと抱き締められた。 「原田……?」 「やってもいい?」 「え……と」 抱えられた健人の頭上から宗太の荒い息づかいを感じ、欲情されてると感じた。 それがまた、嬉しかった。 「うん……」 熱い眼差しに射ぬかれたまま、ゆっくりとベッドに押し倒された。

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