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第77話

「くっ、締めすぎだ、玲」 形の良い眉を下げ、呻くように圭史さんが息を吐く。 (……聞かれ、た……新谷君、に……) そう自覚した瞬間、視界が涙で滲む。 「……っぅ、え……」 恥ずかしさと情けなさと切ないのとで頭がぐちゃぐちゃになりぼろぼろと涙が溢れてしまう。 「――……玲」 未だ、僕のナカに呑み込ませたまま、圭史さんがぺろりとそれを舐め取る。 「安心しろよ」 「俺達が見ず知らずの他人に玲の可愛い声聞かせると思う?」 "通話終了"と表示された僕のスマホを幸人さんが揺らす。 「……っぁ……ん、や……」 聞かれてなかった。 それを理解し、ほっとしてしまった僕の身体は、また圭史さんを意識してしまう。 「ッお前、ほんと素直だよなあ」 ゆるゆるとわざとらしくゆっくり、再び腰を揺らす彼に幸人さんが唇を尖らせた。 「ちょっと圭史。俺も早く玲と繋がりたいんだけど」 「悪いなあ。そうしてやりてえけど、玲が離してくれねえからよ」 粘着質な音が、鼓膜を揺らす。 「つーわけで、再開していいか?」 まあ拒否権はねえけどな。 「ひ、ッ ……!!」 ひきつった声と同時、圭史さんしか見えなくなっていた僕は、僕のスマホになにやら触れている幸人さんに全く気がつかなかった。

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