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第89話

そうなれば当然のように、楽になりたいという衝動が生まれる。 (ぅあ……だし、た……っイキたい……ッ) けれど、まだ言葉にするのは躊躇われて、代わりとばかりに二人のモノをぎゅうっと締める。 「ん、ッ搾り取られそ……っ」 幸人さんが珍しく呻いた。 「二本も咥えてんのに、大したもんだ、な……っ」 圭史さんも珍しく余裕なさげに息を吐く。 そんな二人を見て、昔の自分が目を覚ましたように頭の中で呼びかけてきた。 『……なあ、帷 玲……何をそんなに拒んでるんだ?』 (なに、を……って) 『イカせてくださいって……素直にねだれば、お前はその苦しみから解放されるだろうに』 (そん、なの……言えな、い……っ) 『言えるさ。お前の本当の姿はそっちなんだから』 (違、う……っ) 『違わねえよ』 きっぱり言い切った頭の中のその声に、思わず首を振る。 目の前にいた圭史さんが「どうした?」と笑い、幸人さんも耳元で「なーに?」と囁く。 ぴたりと止められる二人の動き。 停止していることで、二人の雄は更に僕の中で存在感を増す。 「……っぁ……」 『イキたいって言えよ』 声がぐるぐると頭の中を巡る。 僕のモノは可哀想なぐらいパンパンで、今すぐ解放される事を望んでいる。 「れーいー?」 ぐり、と幸人さんの指が後ろから片方の乳首を捻る。 「っひ……!」 「あ、起きてた」 「お前それは酷えわ」 片側だけじゃ可哀想だろ、ともう片方に圭史さんが歯を立てる。 「ッ……あぅ!!」 ビクビクと腰が跳ね、また二人を深く咥えこむ。 「――――何もねえなら再開するぞ」 圭史さんに目配せされた幸人さんは僕の腰を再び掴んだ。 このまま再び、出せないまま、苦しいままいたぶられる。 そう思った瞬間、自然と口が開いていた。

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