96 / 165

第97話

「離れろなんて言われても無理だよねえ。  玲がこんなにガッチリ咥え込んで離さないのに」 圭史さんがくすくすと笑いながら、そんなことを言う。 けれども新谷くんはその言葉を無視して、僕たちの方に近づいてきた。 「帷さん、あなたはそれでいいんですか」 新谷くんは僕の乱れた姿には目もくれず、僕の目だけを見つめて、そう問いかける。 「こんな人たちのオモチャにされて、一生もてあそばれて、それで本当にいいんですか。  ──僕の好きなあなたは、本当にそんな人ですか?」 「……っ!」 場違いな、そのくせ真摯な新谷くんの告白に、僕は心臓が止まりそうになる。

ともだちにシェアしよう!