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第98話

好き…? 好きって、言った…新谷くんが僕のことを…? 信じられない、でも本当に…? 止まりかけた心臓が思い出したように拍動を始め、加速していく。 ドクドク、ドクドク、 逆流する血潮が僕の中に巣食ったものを洗い流していく。 それまでの自分が嘘のように晴れていく。 真っ暗で先の見えなかった向こう側が開けていく。 その先の向こうには新谷くんがいる。 彼の僕を真っ直ぐ見る瞳が僕をそこから外へ連れ出してくれる。 もう少しでそれが完了するかということろで、 しかし頭上から落ちて来た声で一気に現実に引き戻された。 「へー、そうなんだ」 幸人さんの、笑っているだろうけれど、その実そうではない声音に震える。 「よかったねぇ、玲?」 覗き込んでくる幸人さんの顔が見れない。 きっと僕は顔色が悪いだろう。 そんな僕をいたわるように、圭史さんが肩に触れる。 「玲? 大丈夫だからな」 「圭史さん…」 圭史さんの目を見ると、昔と全く変わらない優しい彼がいてドキリとする。 圭史さんは僕をそっと抱き寄せると、新谷くんの方に視線を移した。

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