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第112話
「 こっちへ来て 」
頰に当てられた手は僕をゆっくりと馨君の膝の上に誘う。
むき出しの尻たぶが今更ながら二人の雄の汁で汚れているのが恥ずかしく、馨君の脚を汚しちゃいけないとお尻を浮かしたような格好の僕に、
「 構わないよ、俺が今から玲を綺麗にするから 」
と耳元で囁く馨君の声。
僕は堪えていた涙が眦からこぼれ落ちるのを止められなかった。
一糸まとわぬ身体で恋しい男の胸の鼓動に耳を充てる。
ドクンドクンと打つその音に僕は彼の心と身体が欲しいと心の底から願った。
そして合わせる唇はその願いを受け止めてくれるように、ゆっくりと長く深くそして甘く口腔の奥までその思いを響かせる。
欲しいよ、あなたが欲しい……
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