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第117話

馨君を感じていたい。 この瞬間をいつまでも感じていたい。 僕も馨君も動かなかったのは、きっと同じことを考えていたからだ。 粘膜を通じて感じる彼の存在。 いつまでもこの幸せを味わっていたかった。 動いてしまったら時間が動いてしまう、そんな気がしていた。 だけど、 「っ…!」 脇の下に差し入れられた手にはっとする。 「よっと」 「ん、や…、幸人さ…」 身体を持ちあげられ、馨君から引き離されそうになる。 身を捩って抵抗しようにも不安定な体勢では踏ん張ることもできない。 「玲ッ…」 何とかしようと手を伸ばした馨君も、圭史さんに止められてしまう。

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