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第62話

終業時刻が来ても新谷君は戻ってこなかった。 今日の分の仕事は終わっているし、特別彼に用事があるわけじゃない。ただ、もし彼の仕事が残っているならば手伝えないかと待っていたのだ。 課長からは(新谷君から聞いたのだろう)、残業などせずに帰るように強く言われていた。 体調はもう大丈夫なのだが、今夜は南雲さんとの待ち合わせもある。僕は今日のお礼と先に帰る旨をメモに残して会社を後にした。 南雲さんに指定された場所は、一軒のバーだった。

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