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第3話月灯り

楓side 殺風景な部屋。殆ど家具もない。 必要最低限の生活環境。 レースのカーテン越しに 満月の月灯りが差し込み、 アランを照らす。 この部屋はあいつが、 アランに与えた唯一の 居場所。他には何も与えず、 ここで、乱暴なセックスを 愉しんでいた。 俺はベッドに座らせ、 交わりのない金色の髪を 撫でると、とても細く、 柔らかな髪質。 「んっ……」 まるで硝子細工に触れるように キスをすると、僅かに漏れた吐息。 俺を興奮させるには充分だった。 啄むように繰り返す。 アランも承知したのか、 俺の首に腕を回した。 この時をどんなに望んだか。 例え心が俺に向く事は無くても、 愛したい。そう願った。 「んっ……んぅん」 薄着のアランのシャツを脱がしながら、 口腔に舌を侵入すると、 お互いの身体が重なり合い、 ベッドへと転がった。 アランの身体はあいつに開拓されてる。 1度だけ見てしまった交わり。 ドス黒い感情で支配されたが、 目が離せなかった。 愛情のないセックス。 この白く透き通る身体が、 汚されていく様を、 ただただ見ているしか出来なかった。 でも今夜は────、 今夜だけは、この身体に 俺の愛情を注ぎ込む。 例え報われなくても────。

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