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第12話散りゆく花
楓side
俺は重い目を開け、
辺りを見回すが、
アランの姿がない。
「寝てた────?」
慌てて服を着、部屋中を
探すがどこにもいない。
嫌な予感────。
「どこだ?アランっ────、」
落ち着け、アランが居る場所
────屋上だ!
俺は急いで部屋を出る。
エレベーターのボタンを
何度も押すが、
こんな時に限って来ない。
俺は痺れを切らして
階段で駆け上がる。
アランっ────アランっ!
光の差す方向へ勢いよく
ドアを開くと、少し強めの風が
吹き付ける。
「アランっ────」
呼んだ先────、
アランは両手を広げ立ち尽くす。
「待ってくれ!」
俺の必死な呼びかけに
アランは静かにこちらを向いた。
だが、俺はその表情に息を飲んだ。
その表情はとても哀しい……だけど、
1番穏やかだった────。
「……………………」
言葉が出ない俺に、
アランはにっこり
微笑むと、躊躇う事なく、
そのまま一瞬で
俺の前から消えた。
「────アランっ」
人生で最大の叫び。
だけど、その叫びは
アランにはもう届かない。
泣き崩れてしまいそうな
自分を必死に抑え、
俺は階段を降りていく。
荒い息の中辿り着いた
その光景に、俺はゆっくり
近づき、その場に崩れ落ちた。
「…………ラン」
ピクリとも動かないその
美しい姿に似合わない血。
「アランっ!」
何度呼びかけても動かない。
その目は閉じられたまま。
壊れそうな程、
強く抱きしめても、
呼吸も鼓動も聞こえては来ない。
もう動かない────。
「うああ────」
アラン享年20歳────、
その生涯を自ら終えた。
たった1人の男の為に。
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自殺を推奨するものではありません。
創作の一貫としてご了承ください。
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