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第36話

  2017年、3月7日(火) 大安吉日   今日は新居へのお引っ越し。   昨夜は興奮気味であまり良く眠れなかった。   何か、小学校の時の遠足や運動会の   前の日みたいな感じ。   アパートの軒下にはてるてる坊主が下がっている。   その効果があってか?   本日は、雲ひとつない日本晴。   柊二と去年の9月から物件探しをスタートした時は   こんな事に大金をつぎ込もうとしている、   彼の真意が理解出来なくて   あまり気乗りがしなかったけど。   こうして、実際新居へ引っ越すとなると、   浮き立つ気持ちを抑えられない。   柊二が俺との時間をもっと多く持ちたいと   願ってくれた通り、今夜からずっと一緒だ。   柊二と俺、それぞれの古い住所から新居となる   豊洲のマンションへの、引っ越し荷物の搬入は   午前中に終わり。   ランチタイムを挟んで。   2人で新たに買い足した大型家具がデパートから到着   するのを待って。   午後の作業スタート!   この引っ越しには多くの友が力を貸してくれた。   和志さん・良守さんら国枝一家の面々。   利沙と都村。   都村はすぐ上のお兄さんが運送屋さんで   プロの人手とトラックも貸してくれた。   尚、あつしは本日日勤の為あえなく不参加。   プロが手伝ってくれたお陰で作業はスムーズに進み   午後5時過ぎ、大方のセッティングが完了。   とりあえず、新生活をスタートさせる態勢は整った。   利沙が馴染みのお店からすし盛やらパーティー用の   オードブルやらをケータリングで頼んでくれたので、   皆んなでちょっとしたお疲れ様会。   皆んなはこの後もそれぞれ用事があるので   アルコールはなし。    「おつかれ~」「おやすみ~」    「ありがとうございましたぁ」    「気を付けて帰れよ~」   皆んなを送り出して、   やっと2人きりになった柊二と俺 ―― 「―― んじゃ、風呂にすっか?」 「うん、柊二お先にどうぞ」 「何言ってんの? お前も一緒に決まってるじゃん」 「ええっ! そんな、恥ずかしいよ……」 「異議は全て却下。オラ、さっさと来いっ」 「ア~ン、引っ張んないでよぅ……」

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