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第163話

ライトの想いを否定するつもりは なかったのに…… …………………どうしよう ライトは一度も振り向かない 「ラ、ライト……」 何も出来ず、ただ後ろからついて行くだけ ライト、ヨロヨロしてる あんな狭いとこで乱暴にしたから…… 大通りまで出ると、 騒がしい車の走行音が聞こえる 「待てよ」 腕を掴むと次は勢いよく手を払われた 「……っ……俺に……触るな!!」 ライトが大声を上げて、驚き戸惑う …………怒ってる 急にライトが手を上げ、タクシーが止まった この距離でタクシーに乗るつもりか? 体が辛くて……? それとも、俺と一緒にいたくないから……? 「ライト!」 あっさりと、ライトは車内に乗り込む 「…………平気、だか……ら。 お前は……っ……大学、に……」 心配になる位、涙でボロボロなライトと 一瞬、目が合う すぐに目を逸らされて、 タクシーはあっという間に去っていった その場に一人、取り残されて呆然とする ライトを乗せたタクシーが見えなくなると、 重い足取りで駅へ向かった 俺、何やってんだ…… でも、いつも抵抗しないのに嫌がられて、 拓海の事も頭から離れなくて、 頭に血が上ったみたいに、 怒りをぶつけてしまった いくらライトでも 愛想つかされるかもしれない 優しい拓海を選ぶに決まってる でも、ライトだっていけないんだ 拓海にあんな可愛い顔、見せたりして…… 俺だけのものだったのに…… 黒い気持ちが後から後から来て、 胸がモヤモヤして堪らない

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