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第164話

「よぉ!」 突然、声をかけられて振り向くと、 ルイトがいた 「ルイト」 「お前、こんなとこに突っ立って、 何してんの?」 「いや……別に……」 「そうそう!2限が休講だよ。 俺、4限からなんだ。 何人かでファミレス行くけど吹雪も行く?」 「俺はいい」 その時、ふとルイトの首元にある 無数のキスマークに目がいく 「……また、キスマーク付けられたのか」 嵐、付き合うまでは、どうのこうの、 言ってたくせに………… やりすぎだろ あんな見える場所に何ヶ所もつけて…… 「あ、うん…………へへっ。 俺が友達とジャレてたら怒ってつけられた」 友達と楽しそうにしてたら、怒った…… 「怒って……?」 「うん。ヤキモチ妬くから、 やめてくれって……」 ルイトはなんだか嬉しそう ヤキモチ…… 「嵐、独占欲強すぎ」 独占欲…… 自分のセリフにも引っかかる 「…………俺以外の男に笑いかけるなって、 言われちゃった……」 ルイトは真っ赤になって、 思い出したように一人で照れてる 俺以外の男に笑うな…………? 「ノロケかよ」 「……嫉妬されると嬉しい。 先生が俺の事、好きって分かるから……」 嫉妬…… 好きだから、嫉妬…… 「重いぞ。バカップル」 「うるせー!あ!俺、時間!! 行かなきゃ!…………またな。吹雪!」 …………嫉妬 嫉妬…………? モヤモヤした気持ちのまま、 一人でゲーセンまで歩いた 真っ直ぐ、目的地に向かう スターウ□ーズのクレーンゲームの前に立ち 財布を取り出した 確認すると今、この場で使えるのは二千円 これを超えるなら一度、 家に戻らなきゃいけない 前にライトが欲しがってたけど、 取れなかったライ□セーバーのキーホルダー 『限定品で、売ってないから欲しい!』 って言ってたけど、千円使っても取れず、 残念そうに諦めてたやつだ 明日はライトの誕生日 キーホルダーをあげたいって思ってたけど、 さっきの様子じゃ受け取って くれないかもしれない …………いや。俺が悪いんだ ちゃんと謝りに行こう  アイツも甘いもの好きだよな…… ケーキを買っていってプレゼントを渡したら 笑ってくれるだろうか…… 結局、二千円ギリギリだった なんとか取れたキーホルダーを ポケットにしまう 双子といっても好みは全然違う スパゲッティなら、ライトはトマト系、 ルイトはクリーム系 飲み物だと、ライトはミルクティーと炭酸、 ルイトはオレンジジュース ケーキならライトはショートケーキ、 ルイトはチョコケーキが好き 俺もチョコが好きだけど………… 「すみません。 このベリー&ベリースノーホワイトの6号を お願いします」 迷わず、クリームのケーキを選んだ 「プレートはお付けしますか?」 「…………あ、はい……じゃ、 その……誕生日のやつを」 いい年してプレート頼むの恥ずかしい…… 「畏まりました」 喜んでくれたらいいな…… そう思いながら、 ボンヤリ箱詰めされるケーキを見ていた ケーキを片手に店を出た ライトは俺を許してくれるだろうか………… 自分のさっきの言動を思い出して、 ため息をつく 許してくれなくても、ちゃんと謝ろう

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