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第166話

戻るとライトがいなかった 「………………ライトは?」 拓海がビクッと震える 「ちょ、ちょっと……調子が悪かったみたい! 寝たいから帰ってくれってっ! 一緒に帰ろう!……吹雪!! えっーと?鍵は、あそこらしい。 ポストに!ポストに入れて…………」 拓海は目も合わせず、早口で詰まりながら、 一気に説明した なんだよ。そのおかしな態度は…… そんなに急に具合悪くなるわけ無いだろ …………まさか まさか、俺がいない隙に手を出した?  ないか…… トイレ行ってたのだって一、二分だし、 そんな事、あるわけ………… いや。駅で、人がいるのに、 キスするような奴だぞ…… もしかしたら、また……キスした…………? 二人でキス 想像しただけでイラッとくる 駅でのキスシーンも思い出して、段々、 イライラしてきた 明らかに動揺してる拓海に焦りを感じる 「じゃ。一言、ライトに言ってから……」  ライトの部屋に行こうとすると、 凄い勢いで、手を掴まれた 「ふ、吹雪!! ライトは…………その……き、気持ち悪いの! 可哀想だから、すぐに!帰ってあげよう!!」 赤いんだか青いんだか、 よく分からない顔色で拓海はまくし立てる この動揺はなんだ マジでライトに………… なんかしたんじゃねーだろうな ライトと俺を会わせたくない…………? 別にライトはお前のものでもないくせに…… …………でも 気持ち悪い……? 前にやり過ぎたら気持ち悪くなって、 ラーメン食えなくなった事あったっけ もしかしたら、トイレで無理矢理ヤッたから 具合が悪くなった? ……拓海は怪しすぎるけど、とりあえず一度、出よう   俺も頭冷やしたい なんか、さっきから感情的になってるし…… それに本当に気持ち悪いのかもしれない 念の為にお茶とかサッパリしたものと、 胃薬とか、買いに行こう あと、ポカリとか……? 急かすような拓海に違和感を感じつつ、 一緒に家を出た

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