164 / 230

第167話

帰り道 気になって気になって、仕方ない 「……なぁ……拓海……」 「何……?」 「お前、ライトになんかした?」 思い切って聞いてみる 「ぶっ!ゴホゴホッ」 その焦り方はなんだ 本当に手を出したのか 「…………」 「な、なんでだよ」 明らかに動揺する拓海に切り込む 「挙動不審だったから」 「べ、べ、別に、挙動不審じゃねーし!」 じゃ……なんで、どもってんだよ 「明らかにおかしいだろ」 「お、おかっ、おかしくない!!失礼な!! 何も!なんにもしてない!何も!!」 全力で否定しまくる拓海に、 怪しさしか感じない 「…………そうかよ」 納得はいかなかったけど、 訳を話す気はなさそうだ 拓海はコンビニに寄ると言ったので、 駅の手前で別れた すぐそばの薬局に入り、 必要なものだけ買って、 ライトの家に急いで戻った インタホンを鳴らすけど、反応がない 変だな あれから、まだ30分位なのに もしかしたら、寝てる? アイツ……やった後、本当によく寝るし 前にルイトが言ってたのを思い出す ーなくした時用に、ポストに鍵入れてるんだー ー暗証番号は、俺達の誕生日にしたー 俺に知られちゃ意味ないだろ。変えろよ、 そう言ったから、もしかしたら、 もう変えて違うかもしれないけど………… 少し考えてからポストのダイヤルを回した カチッと音がして開く …………本当に不用心だな ポストを開けて、鍵を取り出す 最後にもう一度、インタホンを鳴らしても、 反応がなくて、鍵を回して中に入っていった コンコン ノックするけど返事がない 寝てたのか 布団、頭から被って苦しくないのか 布団をめくる 頬には涙の跡があった ライト………… そっと、頭を撫でると、パッと目が開いた  「ごめん。起こしたか」 「な、なんで」 ライトはビックリしてる 「ポストの暗証番号。 前に、ルイトが誕生日にセットしたって 言ってたから。 11月15日 七五三の日」 「………そうだけど」 そう言って、起き上がった よく見たら目も真っ赤 あの後、一人で泣いてたの……? 「謝りたくて……………」 ちゃんと謝ろう …………心を込めて

ともだちにシェアしよう!