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第184話
「俺は……つい見ちゃうんだ」
「ふーん」
ため息をつきながら蓮人が言う
ついね……
俺もつい見ちゃうだけだよ
「だって。ホラ……
拓海って格好いいだろ!」
「…………同意を求められても困る……」
まぁ、確かにモテるけど
「吹雪も素直になれよ」
変な事、言うなよ
俺達はただのセフレなのに
「……お前は俺とライトがくっついたら、
都合がいいから、そう言うんだろ?」
好きって言うのは……
言うのは…………?
「そっか……!そうだよな!頑張れ!吹雪!」
「なんだよ。それ……」
RRR……
スマホが鳴り、確認するとルイトからだった
出ようとした時、ライトと拓海が目に入る
「ほら。お茶だよ」
こぼしそうなライトのグラスを拓海が支える
飲みにくかったみたいでライトが、
一歩、拓海に近寄った
ライトと拓海と肩がぶつかってる……
………アイツ、無防備すぎる
全然、警戒してない
RRR……
着信が切れた
「おい。吹雪」
「……なんだ」
「あの二人、邪魔してこいよ」
「自分で行け」
そうだ。拓海の事、好きなら、
蓮人が邪魔すればいい
「俺、そういうの出来ない人なの!」
「阿呆か」
「あー!なんか仲良さげ……」
「…………」
本当だ
二人で楽しそうに笑ってる
RRR……
また、携帯が鳴ってる
「見てられない…………
吹雪!俺のライトに触るな!って、
言ってきて……」
「お前なぁ…………」
はぁ………ため息をついたライトが、
ヤケに色っぽい
ライトは赤い顔で目を逸らず、
拓海をジッと見つめた
…………自分の手をグッと握る
ちょっと嬉しそうに照れる拓海に、
感じるのは危機感
「俺、眠い」
そう言ってライトは目をつぶり、
拓海の肩に頭を乗せた
無意識に近かった
グラスを持って立ち上がる
今度は着信の相手が誰かさえ、
確認しなかった
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