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第192話
「吹雪!俺、ケーキ食べたい!」
…………今度はなんだ
もう、どうにでもしてくれ
家の側のコンビニ
おんぶしたままは恥ずかしかったから、
店の前で待たせようと思ったら、
ライトは「歩ける」と付いて来た
だけど、足元がおぼつかずフラフラしてる
見かねて腕を掴んだら、
ライトが嬉しそうに腕を組んできた
「恋人みたいだね……」
同意を求められるみたいに言われたけど、
なんて言っていいのか分からない
店内に入るとお客さん、店員さんに
一斉に見られた
大学生の男が二人で腕組んでたら、まぁ、
そうなるだろ
……さっさと済ませて出よう
手早くお茶とケーキを手に持って、
レジへ向かおうとした時だった
「家まで我慢したらHしてくれる?」
ライトが耳元で囁く
ジャラジャラ
準備してた小銭をばらまいてしまった
…………あのなぁ!
良かった……
今度は、誰にも聞かれてない
無言で小銭を拾う
「ねぇ。吹雪?」
恥ずかしくて答えらんねーよ
お前は少し、黙ってろ
「…………怒ってるの?」
悲しそうなライトの目に涙があふれる
その壊れた涙腺もなんとかしてくれ
「……怒ってないよ」
「本当……?」
ライトがジッと見てきた
うん。困ってるだけ
また、そんなに泣いて…………
デカイ目だな……
まつ毛も長いし……
…………見過ぎ
ライトがへにゃっと笑う
その後、ジーッと見られる
見過ぎだから!
何故か俺の事をうっとり見るライト
また、ベッタリ腕を組まれて、
諦めつつレジに並んだ
後ろのお客さんはクスクス言ってるし、
店員さんは期待の目で見てる気がする……
もう、このコンビニに行くのはやめよう
それにライトはこれから外で飲むのは禁止
そんな事を考えながら家路に向かった
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