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第215話
ずっとインタホンが鳴ってるのに、
ライトが全然起きない
いつの間にか朝になってる
強引に何度か揺すると、
やっと、ライトが目を開けた
「…………吹雪?」
「さっきから、ピンポン、何度も鳴ってる」
「う、うん!」
ピーンポーン
「ライト?」
「どうしよう…………起き上がれない……」
ピンポン ピンポーン
「俺、開けてきていい?」
「あ、うん。頼む。この時間だし、
また、ルイトが鍵忘れたのかも」
開けると、やっぱりルイトだった
「…………吹雪」
俺と目が合った途端、
ルイトは急に泣き出した
「…………う、ぅ……」
「どうしたんだよ。ルイト」
「…………せ、先生と、ケンカし、た…………」
やっぱり、あの後、揉めたのか
「原因は……?」
「分からないんだ……
急に先生が怒って、乱暴に……された…………
どう、しよう……」
「心当たりないの?」
「ない……」
「怒る前、何してた?」
「昨日……大学に迎えに来てくれたんだけど、
友達とジャレてたくらい」
それだよ
「ヤキモチ、妬いたんじゃねーの?」
「……ヤキモチ?先生は大人だから、
そんなのしない。
それにヤキモチって言うより……
すごい冷めた顔で乱暴で怖かった……」
あーあ……
嵐、ルイトに何も伝わってないぞ
「俺……先生に、
き……嫌われちゃった……のかなぁ」
ルイト、目が真っ赤
昨日から、ずっと泣いてたのか?
「違うと思うぞ。
好きだからヤキモチ妬いたんだろ」
「どうしよ……う、うっ……ゥ……う……」
聞いてないし……
可哀想な位、泣いてるルイトが不憫になる
兄弟揃ってよく泣く……
その場に泣き崩れてしまったルイトの
背中を擦る
ルイトが俺のシャツをギュッと掴んできた
前と違ってドキドキしてない自分に気が付く
胸が痛くて、仕方なかったあの頃
ライトが泣いた時に感じる激情は、
今はもう、ルイトに対して感じない
そうか……
ちゃんと過去の気持ちに出来たんだ
ドンドン!
ドアを叩く音がする
「ルイト!!」
嵐が来た
ドアを開けると嵐はルイトを抱きしめた
「さっきはごめん……昨日も」
「せ、先生……」
「…………この匂い、吹雪の香水?」
ピリ……
空気が凍る
嵐がルイトを射抜くように見つめた
これは…………
…………まずかったか
「おいで。ルイト。二人で話そう」
嵐はルイトを連れて行った
淡々としてる嵐、なんか怖…………
ライトの部屋に行くと、
さっきの話を聞いてたのだろうか、
布団をかぶって泣いていた
「…………こんなに、泣いて…………」
「……」
ギュッと抱きしめた
「そんなに嵐が好きなのか…………」
「……っ…………う」
俺の胸で嵐を想って、ライトが泣く
…………結構、キツイ
だけど
逃げても責めてもライトは手に入らない
それなら…………
「………………吹雪」
涙に濡れたライトの目が俺を捉える
「どうした?」
「俺…………」
…………なんて目で見てんの
緊張して息を飲む
R、RRR…………
その時、電話が鳴った
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