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第225話

『セフレをやめよう』 突然、ライトに告げられた 今日で最後………… …………俺はいらないって言われた気がして、 虚しくなって乱暴に抱いた 同時に悲しさがこみ上げる やっと自分の気持ちに気が付いたのに 「…………う……吹雪」 ライトが背中に手を伸ばしてきた 抱きしめて欲しい時の合図 ……でも、抱きしめなかった 気持ちが溢れてしまいで………… 「……んっ!……ハッ…………ぅ、うぅん……」 なんで拓海なんだよ 俺じゃダメ……? 切り捨てられるこっちの身にもなれ ……お前の幸せなんて絶対に願ってやらない 「……あ……ぁ……はぁはぁっ…………や……」 前に拓海に告白とキスをされた時にも、 自分勝手に抱いた ただ、やるだけのセックス まだ自分の気持ちに気付いてなかったあの頃 俺はあれから何も変わってない 「んぁっ…………っ……っ…………あ!」 ライトの唇を見つめる 俺…… お前とキスするのが好きだった キスした後の蕩けそうな顔 甘える仕草 俺だけが知ってるって思ったら、 堪らなかったんだ 「…………吹雪……」 でも………… もうキス出来ない 「…………あ……やッ!……ん……あぁアッ……!」 ライト………… いつも優しく出来なくて、 何度も泣かせたけど、 お前の事、大事に思ってたよ たくさん泣かせてごめん…… ………………お前の事が好きだった その日、一度もキスしなかった 本当は優しく抱きしめて 何度もキスしたかった …………触れたくて でも、出来なくて………… 終わった後も、もう頭を撫でたり、 出来無いんだな …………ライトは俺のものじゃなくなるから 「俺、帰る…………」 ライトはフラフラしながら玄関に向かった 本当に最後なのか…………… 何か言えよ ライトは多分もう戻らない ……………拓海のところに行くな たった一言が言えない もっと早く告白すれば良かった? いや、違うな ライトは嵐が好きだから、 拓海は俺より優しいから………… こんなに一緒にいたのに、 お前は俺を選ばない………… …………これからはライトと一緒にいられない その事実を受け止める余裕はまだなくて…… ショックで気の利いた言葉は、 一つも出てこなかった …………こんな胸の痛み、知らない 苦しいよ ライト………… 錯覚してしまいそうな程の近い距離、 手放すしかないなんて………… セフレになんて、ならなければ良かった そしたら、俺はお前の可愛さに気が付かず、 ただ、ルイトに失恋しただけ ライトは一度も振り向かなかった 言いかけて飲み込んで、 何も言えずライトの背中を見送る カチカチ…… 時計の音だけが部屋に響いた 一人きりは寂しすぎて何もする気になれない ベッドはいつもライトが左側だった 手を置くとまだ、少しだけ温かい…… 胸が苦しくなって、 そっとシーツを握りしめた

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