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第228話

ライトはフラフラ立ち上がり、 シャツを羽織った 「ライト…………」 「確かに俺からセフレを始めた。 でも……こんなの、あんまりだ…………」 あまりに悲しそうに泣くから、 躊躇いがちに声をかけた 「ごめん…………」 「謝って欲しいわけじゃない!」 どうしよう このままだと二度と話せなくなるかも ライトの手を握った 「ライト」 「触るな!」 思いっきり振り払われた …………傷ついてる場合か! 引き止めないと…… 「ライト…………」 ライトの笑顔を思い出して胸が痛む 「もう俺の事は放っておいてくれ」 ライトはドアの方へ向かった そんな冷たい顔、初めて見る 心が折れそう…… いや。それだけの事を俺はした …………お前が好きなんだ 優しいとこも 笑うと可愛いとこも 涙もろいとこも お前じゃなきゃ駄目なんだ 「待て!ライト!」 後ろから肩を掴む 「頼む。待ってくれ」 言え!! 例え、ボロボロに振られたとしても 「放っておけって言ってんだろ! もう、お前とは顔、合わせたく……」 思い出すのは拓海の前で泣いてた場面 何度も思い出して胸が締め付けられた 「…………ライト。拓海が好きなのか……?」 言葉に出すのはキツイ ライトの答えを聞くのも怖い 小さな声しか出なかった 「さっき、拓海に肩を抱かれて、 泣いてるとこ……見た……」 泣いてる顔 照れた顔 笑ってる顔 お前が俺だけに見せてくれる表情は、 俺に特別な気持ちをくれた 拓海の前で泣いてた その意味を考えたくなくて、悔しくて、 乱暴にお前を抱いた 黙ってたって何も伝わらない 理解してもらえなくても、 許してもらえなくても、ちゃんと話すんだ 「だから、なんだって言うんだ! お前には関係ないだろ……」 ー関係ないー そう言われても仕方ない だけど………… 手を伸ばしてライトをギュッと抱きしめた 「は…………はな……離せよ!!」 ライトは訳が分からなくて、 戸惑ってる 「ライト……」 「やめろ!離せ!」 「…………嫌だ」 必死に暴れるライトをきつく抱きしめる 「吹雪!離せっ!」 「離さない」 「やめろよ……吹雪…………なんで…………」 ライトの目から涙が流れた 「………………俺じゃ、ダメか?」 意を決して、 ライトの目を見つめる   最後にもう一度 もう一度だけ、俺にチャンスをくれ 「吹雪」 最初から諦められる訳、なかったんだ ライト お前の特別になりたい ずっと前から お前の事、大切だったんだ お前が俺だけに笑ってくれたあの時から…… 諦めたりするもんか 手離したりしない 「ライト。俺…………」

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