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第231話

拓海が家に来た時、 ー俺、ライトが好きなんだー そう牽制みたいに話してきてイライラして、 俺には関係ない………… って冷たく言ってしまった事もあった あの時、悲しそうな顔して、 部屋にこもってしまったのは…… その後、拓海に泣き顔、見られたって、 言ってたのも俺のせいだったのか………… もう一度、謝りに行った時に、 ボロボロ泣いてたライトを思い出す …………俺のせいで泣いてたんだ 誕生日は…………? 用意したケーキは、 ルイトの好きなチョコじゃなくて、 ライトの好きなクリームにした ライトがせっかくのホールのケーキだから、 ルイトを待とうって言ったけど、 先に食べようって誘ったら、 すごくビックリしてたっけ…… そんな些細な事がライトは嬉しかったの…… プレゼントはゲーセンで取ったキーホルダー 欲しがってたとはいえ、 ゲーセンで悪かったかな、 って少し引け目を感じてた でも幸せそうに笑ってくれて、 ずっと大事にしてくれてたよな スマホのケースに付けてて、 誰かにいいなって言われる度、 嬉しそうに笑ってる顔を見るのが好きだった セフレをやめてから、 ふと目に入ってしまった …………キーホルダーはついていなかった それを見る度、虚しくなったけど………… ケースからキーホルダーを外したライトの 気持ちを考えると胸が痛い………… 飲み会で甘えてきて、酔って素直だったのも ー吹雪と一緒が一番嬉しいー ーずっと一緒にいたいー 言われて俺も嬉しかった ー行かないでー ーセフレやめないでー 泣きながら言った言葉 きっと、ずっと不安だったんだ ー好きー そう言われて、思わず、 俺も…… 答えそうになって、自覚した あの時はキスが好き、そういう意味かと、 思ってたけど 酔ってた時の言葉は、 全部、お前の本音だった…………? ヤッてる時に「好き」って 言われた時もあった ー先生、好きー そう言い直したお前は、 どんな気持ちだったんだろう 俺に気が付かれない為…… 好きだと気付かれたら、俺といられないと、 思ったから? 自分を偽って俺に誤解されたままでも、 側にいたかった………… そういう事なのか それなのに、俺は嵐に嫉妬して、 セックスも途中でやめて、家を出た あの時、ライトは不安だったに違いない 嵐の前で泣いてたのは、 お前の気持ちも考えず、 俺が冷たくしたからだ ………………今、分かった 原因は俺がライトとルイ卜を間違えたことだ それが引き金になった 多分、そうだ その後、嵐たちが喧嘩して、 ルイトを追いかけて、 ライトを一人、家に置いて行った あの時に ギリギリだったライトの心が折れたんだ ルイトの代わりには結局なれないと………… ーセフレやめようー そう言って身を引くつもりだった…… 自分の気持ちを押し殺して ルイトの代わりに抱かれるのは、 どれだけ辛かっただろう………… どんなに努力しても一番にはなれない 自分とそっくりの双子の身代わりになる、 そう言い出したアイツは どんな覚悟だったのか …………考えるだけで、苦しい 何度も何度も傷つけた …………それでも側にいてくれた 「吹雪」 「……ライト」 「狡くて卑怯だったって、分かってる。 でも、お前が…………」 言い終わる前に唇を重ねた   卑怯なんかじゃない こんなに一途に想ってくれていたのに………… 気付いてあげられなかった………… 「好きだ……ライト……」 痛いくらい抱きしめる 今まで本当にごめん………… 心を込めてキスをした 「吹雪……俺も…………」 ライトの涙、止まらない 「俺も大好き……」 泣きながらライトが背中に腕を回してきて、 幸せで今までの事を思うと切なくて………… 堪らなくて…… もう一度、ライトを抱きしめた

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