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第25話
自分があげた分と、同じだけの好きが
返ってきたらいいのに
俺は吹雪に
吹雪はルイトに
…………矢印は別の方向を向いたまま
ルイトはいいな
好きな人が好きを返してくれて…………
いや。違う
ルイトの幸せはルイトが努力したからだ
…………俺に出来るか?
一度振られた相手に、
何度も告白……全然、相手にされなくて、
諦めずに2年も好きでい続ける
ルイトは、ずっと一途だった
2年越しの努力で今の幸せがある
思い続けて、やっと実ったんだから……
俺には羨ましがる資格すらないかも…………
失恋して、弱ってる吹雪につけこんで、
自分の気持ちを一言も告げることなく、
ルイトとそっくりな顔と体で迫った
最低……だな……
「俺、着替えてくる」
ルイトは部屋に行ってしまった
なんとなく……吹雪の顔、見れない
その時、ふいに頭を撫でられた
「元気出せ。ライト」
吹雪……
自分だって、落ち込んでるくせに…………
「…………俺も着替えてくる」
吹雪の優しい気持ちにいたたまれなくなり、
自分の部屋に逃げ込んだ
パタン
部屋は、まだ吹雪の香水の匂いがした
「…………吹雪」
カーテンも閉めたままの暗い部屋
誰にも聞こえないくらい、小さな声で
好きな人の名前を呟く
部屋に残る甘い香りが切なくて涙が溢れた
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