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第32話

ハッと目が覚めると、吹雪がジッと見てた 「……あ……俺…… また、寝てた?ごめん」 「お前……寝てると、ルイトとそっくりだな」 何気なく言った吹雪の一言 ズキッと、胸に刺さる なんだよ………… ずっと、寝てれば、良かったのか 「吹雪は俺達の事、 一度も間違えた事ないな」 「起きてたら、全然違う。 ルイトは……喜怒哀楽が激しすぎる」 吹雪がふっと笑う そうだな ルイトは素直だ 俺と違って、よく笑ってよく怒って、 感情を隠したりしない あぁ、嫌だな ルイトに嫉妬とか………… 意味ないのに………… 俺は、ルイトじゃない …………ルイトにはなれない 「ルイトの方が可愛い」 聞きたくない そんなの、俺に言ってどうなる………… 「…………そんなの、分かってるよ」 「……ライトは……」 「そんなの、分かってる!!」 ボロッと涙があふれた ………分かってた でも、お前には お前だけには言われたくなかった 「ルイトが良い奴だなんて、 言われなくても分かってる!! だから、だからっ………… 俺は……選ばれなかった…………」 ゴシゴシ拭っても涙は止まらない 同じ顔 同じ声 親でも時々、間違えるくらい、 そっくりな俺達 それでも…… お前が選んだのはルイトだった

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